働きたくない村人のラノベ日記

ブログ開設2014年5月30日

パンツあたためますか?

パンツあたためますか? (角川スニーカー文庫)

《あらすじ》
ある日俺が家に帰ると、見知らぬ美少女がパンツを握りしめていた―俺のパンツを。「わたしは、別に怪しい者ではないんです!」「じゃあなんで俺の家でパンツ漁ってんだよ」北原真央と名乗る彼女との出会い以降、憧れの桃花先輩からデートに誘われたり、初恋の人・伊藤と再会したり。曇天極まる俺の青春に光が差し始めた…はずなのに、なんでいつも傍にいるのは真央、お前なんだよ。第22回スニーカー大賞“優秀賞”受賞作!

部屋に忍び込んでパンツをあさるストーカーで、睡眠薬入りの飲み物を仕込み、文字数制限ギリギリまで書き綴った長文メールを毎日送りつける……美少女ヒロイン!! こんな可愛いストーカーがいてたまるかよ!!
主人公への好感度MMAXで、頼めば何でもやらせてくれる(主人公はヘタレなので何も起きません)変態とエロといえばスニーカー文庫!!
しかし、これだけの属性過多な美少女を擁しておきながら、その本質はノスタルジック青春劇で、デビューするレーベルを間違えたんじゃないかと思うほど。どんな結末を迎えるのがベストだったのかがわからなくなってくる。

スニーカー大賞優秀賞作品として選び抜かれただけに面白さの担保はあり、奇抜なタイトルと強烈なインパクトで目を引きつつ期待を良い意味で裏切らないぶっ飛んだ内容で、販売スタイルとしても手に取りたくなる購買意欲を刺激されて素晴らしかったと思いますう。

救世の背信者2

救世の背信者2 (講談社ラノベ文庫)

《あらすじ》
人類の天敵である星喰いが湯水のごとく湧き出る災害―大湧出。それが芽深市を襲ってから、既に二ヵ月ばかりが経った。傷は深かったものの、復興は順調に進んでおり、芽深市は以前にもまして多くの錬金術師が集まる錬金術の最前線になっていた。そして、夏へと移り変わりつつある季節の中。かつて人類最高峰の錬金術師―達人として活躍していた三森慧は、今は相変わらず、教師として弟子の悠里や同僚のましろ達と騒がしい日常を送っていた。だがある日、慧とましろは何者かによる襲撃を受ける。彼らの前で形を成していく黒い泥。それがとった姿は、ましろと寸分違わぬ顔立ちで―。凸凹師弟が綴る学園異能バトルアクション第二弾!

デビューから定期的に世に送り出してくる新作・新刊がどれもハイクオリティで安心して購入できるライトノベル作家として認識しつつある。
慧の掴みどころのない雰囲気と悠里を手の平で転がして会話の主導権を握る楽し気なやり取りは、キャラクターの好感的に見せる魅力にあふれてるし、何より感情を揺さぶられてリアクションを引き出されている悠里が面白い。学園異能バトルアクションとしての物語の構成も、奇をてらうよりも手堅いものにおさまっていて、それでいて純粋に面白いと思える内容でした。

1作目の『サービス&バトラー』、2作目の『電波な女神のいる日常』、そして本作の『救世の背信者』を比較してみても、どれも大枠の部分でジャンルの違う作品群だけれど、根本的な部分では作者がもつ個性が残されているので、これからもこの作者を追い続けたくなる大きな要因です。

学園異能バトルアクションとしては、学園を感じさせる要素が慧と悠里の『教職員』『生徒』といった点しかなく、また舞台となる街などに異常事態が発生した有事の際に戦力として駆り出されるため、大々的なイベントを通じて学園要素を演出できなかったのが少し残念だったかな。挿絵を通じて悠里を含めた若いキャラクターたちの年相応のにぎやかな様子も楽しんでみたかったです。

これからも著者の今後の活躍に期待して、新作を楽しみにしていきたいと思います。

サービス&バトラー (講談社ラノベ文庫)

サービス&バトラー (講談社ラノベ文庫)

電波な女神のいる日常 (講談社ラノベ文庫)

電波な女神のいる日常 (講談社ラノベ文庫)

理想のヒモ生活 9

理想のヒモ生活 9 (ヒーロー文庫)

《あらすじ》
『瞬間移動』の魔法を会得し、双王国へやってきた善治郎を待っていたのは、ブルーノ王の退位宣言であった。善治郎はもちろん、双王国の貴族達にとっても寝耳に水の宣言に、騒然とする『紫卵宮』。末王子であるラルゴ王子を中心に、多くの貴族は、突然の王の退位に反対の姿勢を示す。そんなラルゴ王子達をブルーノ王は、尊き客人にいらぬ誤解をさせることになると諌める。また、双王国では、新たなる王は即位する際に、四人の公爵に『魔道具』を送り、四公から返礼の品をもらうことで、初めて王として認められるのだが…。善治郎は他国の王位継承に絡む権力争いに巻き込まれていくのだった―。

双王国の王位継承争いから、国の有力者たちの勢力図と各人の思惑が働く外交の場での交渉シーン。言葉を交わしていく中での建前とその裏に隠された真意を正確に読み解くために、リアルタイムで思考を巡らせ、双王国の政治状況と照らし合わしながら現状で善治郎がとれる最善の選択肢をとっていく。
地の文での善治郎の筋道を立てた現状把握が恐ろしいくらいに読みやすくて、内政・外交がメインになる作品としても圧倒的に面白い作品だと断言できる。物語全体の流れを俯瞰すると、善治郎が双王国に訪れて国の重要人物と言葉を交わして自国の今後に関わることをいくつか取り決めるだけで終わって、時間の経過を実感する要素が薄くとれるかもしれないけれど、全ては『面白ければそんな細かいことはどうだっていい』で一掃できる。
どこが見どころ化といえば、ページをめくって冒頭の部分から既に気の抜けない場面が始まって、最後に自国に帰還して今回の双王国への訪問で起きたことをアウラに事後報告する場面の全てにおいて、終始読み応えがありすぎて区別が付けれれない。超面白かったです(小並感)

転生少女の履歴書 4

転生少女の履歴書 4 (ヒーロー文庫)

《あらすじ》
リョウが学園に入学して、早くも4年が過ぎた。友人も多くでき、商人としても成功しつつ、順風満帆な日々。ある日、大雨の影響で、魔物から国を守っていた結界が壊されてしまう。結界から出てきた魔物達が、リョウ達が過ごす学園を襲う。避難場所である講堂へ向かい、他の生徒や先生と合流すると、シャルロットがいないことに気づく。リョウ、アラン、リッツ、カテリーナ、サロメの5人は、シャルロットを救うために魔物がいる講堂の外へ出ることを決意するのだが―。

リョウが学園で成し遂げた功績と人脈の集大成が、学園に突如襲った魔物の襲撃への対処に赴く人員構成に多大な影響を及ぼし、魔法使いとそれ以外の人間の間に根付く固定概念を打ち破る。かねてから『約束された勝利のリョウ』の異名をもつ主人公なだけに、行動力と決断力が人目を惹く存在ではあったけれど、有事の際に率先して問題の解決に挑む姿とトラブルへの対処法を検討するときの視野の広さには恐れ入る。
魔物の襲撃に際しての打開方法もリョウをよく知る学友を盛大に巻き込ん大騒動になっていて面白かったです。
リョウがひそかに発見した魔法の存在が今後どんな活躍を見せてくれるのかも楽しみだし、何よりもリョウの秘密を唯一知ることになったアランとの関係がどう転んでいくのかも見どころ。新刊が楽しみです。

追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ2

追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ2 (ファンタジア文庫)

《あらすじ》
木々が紅く染まりゆく季節。俺、篠山マサキは風間ハルカと真の出会いを果たした。平穏な時間を取り戻したと思ったのも束の間で、ある日から俺の携帯に奇妙なメールが届き始める。「あの男、私にこんな恥ずかしい格好を…!」「マサキが風呂場のことを忘れますように」身に覚えのない文章が届いた後、確かに俺はハルカにエロい和服を着せて文化祭を盛り上げ、幼馴染みの入浴姿を目撃した。まるで、メールが未来を予知しているかのように…。ハガキの次はメールだってのか?更に、俺の昔の野球仲間で、今のハルカと同じ学校に通っているという少女が現れて―。キミとの時間を紡ぐ青春譚。

過去にハガキを送ることで未来が変わる不思議なポストにより真の出会いを果たした篠山マサキと風間ハルカ。そして今度は未来を予知するメールがもたらす騒動がきっかけで、二人の学校生活にも大きな影響を及ぼし、波乱の日々の幕開けに繋がる。
『ポスト』や『メール』が起こす過去と未来への微細な干渉と二人の周囲で生じるちょっとした変化。そして篠山マサキと風間ハルカの間に芽生えた淡い恋心。『過去と未来への干渉』『学校』『青春』これらの要素を調理してひとつの物語を作り上げたときの親和性の高さと、デビュー作から安定して読者の心を揺さぶる展開を生み出す技術、そしてわずか2巻にして巻をまたいで衝撃のクライマックスをもっていく編集部の英断。ファンタジア文庫の思い切りの良さがこの結末を生んだのだとしたら、もう言葉が出ないです。ここまで満足させられる青春物語を読ませられたら、どこまでも追いかけていきますよ。
篠山マサキと風間ハルカの関係が順調に進展していって、やがては恋人関係を築いてイチャつく姿を見てみたいと思う反面、前者を歩んで完結に向かうくらいなら紆余曲折を経て徐々に関係を深めていってもらいたいという二つの思いに挟まれて悶え苦しむのが面倒なところ。

『追伸ソラゴトに微笑んだ君へ』が今後どのような展開を辿っていくのかが気になるところではあるけれど、どんな形であれ新刊が出るのであれば後はもうどこまでも突っ走っていって行って、読者をとことん楽しませてくださいとしか言いようがないです。

妹さえいればいい。 7

妹さえいればいい。 7 (ガガガ文庫)

《あらすじ》
ついに付き合うことになった羽島伊月と可児那由多。恋も仕事も充実して、ますますリア充真っ盛りとなる2人。そんな2人の交際をきっかけに、羽島千尋、白川京、不破春斗、それから何故か大野アシュリーの心境にも変化が訪れるのだった。千尋の前には新たなライバルが出現し、春斗は彼を慕う新人作家(巨乳)・相生初に熱いアプローチを受ける。近づいてくるクリスマスの足音。変わりゆくもの、変わらないもの。大人気青春ラブコメ群像劇、待望の第7弾!作家や税理士や女子大生たちの、新たな物語が幕を開ける―。

出版業界の実態について幅広く触れるたびに自分の知らない世界を知ることができて好奇心が刺激され、アナログゲームをエンジョイしつつ伊月の周囲の恋愛事情を引っ掻き回してラブコメ感を出しつつ、ライトノベル業界の闇にバッサリ切りこんでシリアスな雰囲気に持っていく。
これらの要素が上手い具合に巡っていくことで常にフレッシュな感覚で楽しむことができ、かつ物語の時間経過を感じさせるエピソードが盛り込まれていて、キャラクターたちの成長と変化も感じられる。

ライトノベル業界の闇に果敢に攻めているところに関しては、ぶっちゃけ一人のライトノベル好きから言わしてもらうと「そんなところにまで踏み込んでいくのか!?」と思えるほどでした。たしかに、自分としても思うところがある内容なだけに、真剣に考える場面でもありましたが、作者の目線から作中のキャラクターを通して語られる内容には重みがあり、これまでの“妹さえいればいい”の中でも最高にヘビーで強烈に印象に残る内容でした。

ライトノベルに関して適当な自論を展開する連中に向けて、アニメを通して全国に向けて攻撃に出たら野次馬的発想で面白くなりそうだけど、精神衛生上はよろしくなさそう。

※妹を可愛がるのも大切なお仕事です。

※妹を可愛がるのも大切なお仕事です。 (MF文庫J)

《あらすじ》
巳月紘には、こいつのためなら死んでもいいと思える妹・唯々羽がいる。朝は二人でご飯を食べて仕事と学校に向かう。どんな残業地獄でも、笑顔の唯々羽の「おかえり」の一言に救われ、早く帰れた夜にはその髪を梳いたりもする。―だが、巳月兄妹には誰にも言えない秘密があった。実は唯々羽は(売れない)ラノベ作家で、紘はその担当編集なのだ!「このままだと、編集者さんが代わっちゃうかもしれないから。わたしはおにぃちゃんじゃなきゃ、やなの」妹を売れっ子作家にするために、紘は今日も唯々羽を膝に乗せて執筆を手伝う。時には頭を撫でて褒めてやり、一緒のお風呂で癒やし癒やされたり。でも、唯々羽が書くのは迷走したトンデモ小説ばかりで…!?

ライトノベル作家の妹と編集者の兄が新作にかける情熱、イラストレーターやデザイナーなどの多くの人の協力のもとで世に送り出した作品が作者の手を離れて流れに身を任せる心境。そんななかでの不安や緊張、そしてどれだけ満足のいく良い作品を書いても売り上げが振るわなかったときの残酷な未来が克明に描かれていて、読んでいてとにかく心に響く内容でした。

最近になって徐々に増えつつある『ライトノベル業界ものライトノベル』のなかでも、ライトノベル業界の生々しい現状を強調して読者の関心を引いて釘付けにするタイプや、さらに視野を広げてコミカライズやドラマCDやアニメ化などにまで触れるタイプなど様々なものがあります。そのなかでも、この作品は、まだ誰も開拓していないであろう(自分の知る限りでは)某ライトノベル人気投票雑誌を起点に物語を広げている部分が強烈に記憶に残っていて、ライトノベル業界ものの新たな可能性が見ることができて凄く新鮮な感覚で楽しめました。
そこに目を付け、さらに物語として昇華させる技術には恐れ入りました。感激しました。

二人が生み出した新作がたどった結末を目にしたときには、努力が報われたときの感動が押し寄せてきた。是非ともこの作品も同じように、世の多くの人の手にわたってほしいです。