働きたくない村人のラノベ日記

ブログ開設2014年5月30日

おことばですが、魔法医さま。(2) ~異世界の魔法は強力すぎて、現代医療に取り入れざるを得ませんでした~

おことばですが、魔法医さま。(2) ~異世界の魔法は強力すぎて、現代医療に取り入れざるを得ませんでした~ (電撃文庫)

《あらすじ》
魔法医療だけが発達した異世界に召喚された、優秀な医学生の伊坂練次郎。魔法だけでは治せない患者を持ち前の知識と技術で助けてあげたりと、この世界に現代医療を持ち込み大活躍してから早二ヶ月が経過。伊坂は今、魔法医コーディ、錬金術師リアとともに隣国へ向かう船の中にいた。武国グリムヒルの国王が病に臥し、医療の助けを必要としている―そう知らせを受け、砂の海を行く一行。しかしグリムヒルは社会に病をもたらす悪魔の獣―ネズミの攻撃を受けていて…!?現代科学医療×異世界魔法医療で贈る、異世界医療革命譚、第二弾!!

魔法医療だけが発達した異世界でビタミンCやビタミンB1が不足して発症する『壊血病』や『脚気』の概念を訴えたところで、それを信じてもらうことがどれだけ途方もないことか。現代の科学技術により解明された患者の病態に対する解決策として食事の摂取を提案したとしても、魔法医療だけの世界ではむげに却下される始末。

異世界に召喚された医学生の伊坂練次郎と異世界の魔法医コーディが協力して、異世界魔法医療と現代科学医療を融合して異世界の医療に革命を起こしていく光景には鳥肌が立ってしょうがない。

現代の科学医療について信じてもらえない現状を打開するために、とにかく相手の信頼を勝ち得ようとする練次郎のアプローチには、「現状で解決の糸口はそれしかない……」としか思えないくらいに地道なもの。もっとも、99%は自分の出した診察結果に自信を持っているから、ある種の無謀な賭けに出られるのだろうけど、もし砂漠船での一件が誤診だったら(冷や汗

1巻のクライマックスが『インフルエンザ』が蔓延した都市でで、異世界魔法×現代医療で巨大な卵からワクチンを製造する結末というファンタジー世界で医療ものらしい結末だったけれど、今回も実に医療ものらしいハラハラする急展開でした。
まさか、ここまでネズミが厄介極まりない存在に成り上がるとは……。異世界医療魔法と現代科学医療の要素を上手く調和させた作品としても、ひとりの医療従事者として読んでいる自分にとっても存分に楽しめる作品でした。

夢幻戦舞曲

夢幻戦舞曲 (MF文庫J)

《あらすじ》
西暦2020年、東京オリンピック目前の日本。経済特区たる海上都市オリュンポスに、天使、龍、鵺、人狼、巨人、天狐、夢魔、ゴブリン…幻棲種と呼ばれる人外種が集結しつつあった。彼らの目的は、勝てば東京の統治権を得られる『幻神大戦』。一方、謎の研究施設で目覚めた月見里大雅は、過去の記憶を全て失っていた。2年前に交通事故で死亡した大雅は、日本政府と御薪製薬の合同プロジェクト“夢幻計画”により、人工吸血鬼として復活させられたという。多くが謎に包まれたまま、大雅は史上最強の幻棲種・吸血鬼の圧倒的な力を秘めながら、人類種の代表として参戦することになる。地球上に存在する、全ての知的生命権によるバトル・ロイヤル開幕!

星刻の竜騎士』の新作ライトノベル。世紀のバトル・ロイヤルが開幕したときのハイスケールなバトルが一刻も早く読みたい!!

最強の種族・吸血鬼として目覚めた際に記憶をなくした主人公の明かされないままの過去とは……。贅沢に1巻を丸ごと使った壮大な物語のプロローグでもって『幻神大戦』の出場者が決戦の舞台へと導かれていく流れが丁寧に描写されていて、それぞれのキャラクターでもって主人公を名乗れるくらいに背景が細かく練られていて良かった。各章で天使、龍、鵺などなど、『幻神大戦』で注目される実力者の視点に変わって物語が進行していくけれど、細かく設定が練られているだけに各キャラクターが胸に掲げる想いや、いざ戦いの舞台に上がって死闘を繰り広げることになったときに、『誰とどんな戦いをすることになるのか』が気になってくる。

各種族が日本で開催される『幻神大戦』に出場するにあたり戦いの舞台となるエリア以外にも、人類種の生活圏にまで足を運んで日常生活を送っているため、『実はお互いに認識していないところで、意外な接点が生まれていたり……』なんてこともあるわけで。それが『転校先のクラスメイト』や『超人気作家のサイン会場』だったり。
そんな真剣勝負の枷になる原因を仕込んだり、種族の命運をかけた戦いに消極的な一面を臭わせたり、一筋縄ではいかない模様を強調することで、単純な力比べでは決して終わらない深みのあるバトルロイヤルにまで昇華させ、より面白い作品へと仕上げてきてる。
是非ともMF文庫にはこの大作を完結まで無事に走り切らせてほしいものです。個人的にもオススメの一品です。

詩葉さんは別ノ詩を詠みはじめる

詩葉さんは別ノ詩を詠みはじめる (ファミ通文庫)

《あらすじ》
大切な想いや言葉が形となった“迷い言”が視える藍川啓人は、数年前の事故で亡くした幼馴染、高森閑香の“迷い言”に出会う。事故の時、助けられず後悔していた啓人は、彼女の本当の想いを知るため“迷い言”の声を聞くことができる“伝え人”、梅ヶ枝詩葉の元へ連れて行くことに。そして詩葉の力を借りて、閑香が伝えられなかった最期の言葉を聞こうとするのだが―。大切な人への想いを巡る、切なくて暖かく、そして少しほろ苦い感動の青春ストーリー。

中学時代に事故で亡くなった幼なじみの死をきっかけに疎遠になったかつての友人たちが、『高森閑香の迷い言が最後に伝えたかった言葉』をきっかけに再会を遂げて巻き起こす感動のクライマックスには心を打たれた!!

いつまでも事故の時の後悔に駆られ苦悩を続ける友人たちを相手に、主人公と梅ヶ枝詩葉だけが視ることができる『迷い言』というオカルト染みた存在を信じさせることが最大の難関。幽霊のような存在であり、二人以外に対して間接的に存在を表明することもできないなか、友人たちを説き伏せて『最後の言葉を伝えるためにさまよう高森閑香の迷い言』を向き合わせるか。友人たちが事故に対して抱える悩みに真正面から向き合う姿勢には、主人公の真摯に向き合っている格好があって、これから成し遂げようとしていることへの本気度が鮮明に伝わってきました。

『迷い言としていられる時間にも限界がある』という枷もあって、『高森閑香の言葉を伝える最後のチャンスを逃したら一生後悔する』未来を示唆していて、切迫感を演出したままノンストップでクライマックスを走破することで感動ストーリーとして収束されていて素晴らしい作品でした。

ファミ通文庫の19周年企画で打ち出すだけのことはある傑作であったことは間違いないです。

異世界食堂 4

異世界食堂 4 (ヒーロー文庫)

《あらすじ》
家族を持ったことのない、遠い異世界からやってきた女。家族を失い遠い大陸から戻ってきた男。終戦間もない混沌の時代に二人は出会った。女ができた仕事はただ一つ。魔王を狩ることのみ。男ができる仕事はただ一つ。料理を作ることのみ。やがて女と男は店を持ち、家族を作り、そして異世界の客を招く。かくて始まりし『異世界食堂』。毎週土曜日にだけ開くこの店は、絶品の料理で、多くの客をもてなす。『洋食のねこや』、創業五十年。『異世界食堂』、開店三十年。今日も、チリンチリンと扉が開く。

1週間に1度だけ異世界に現れる不思議な扉を開けてやってくる異世界人がただただ飯を食うだけの内容だけど、異なる種族だったり異世界にやってくるに至った経緯だったり、手を変え品を変え様々なシチュエーションでもって異世界人のリアクションが引き出されている飯テロ作品ですね。
現在、異世界に伝わっている名物品のルーツが“異世界食堂=洋食のネコ屋”だったり、異世界食堂のメニューをそのまま持ち帰って楽しんだり、“異世界食堂”がきっかけで波及した副産物についても小出しでネタにされていて、飯テロライトノベルにより深みを出している感じがある。

現在放送中のアニメと合わせて読み進めていくと、異世界食堂のメニューと登場人物が映像を通して情報が視覚的に入ってくるので、より登場人物たちの躍動感と情熱的な食レポをイメージすることができるので、アニメの視聴と合わせて読むことをおすすめします。

異世界食堂 2

異世界食堂 2

最底辺からニューゲーム! ~あえて奴隷になって異世界を実力だけで駆け上がります~

最底辺からニューゲーム!  ~あえて奴隷になって異世界を実力だけで駆け上がります~ (HJ文庫)

《あらすじ》
日本人の青年タクミは、生まれ育った環境が恵まれ過ぎていたため、自分の本当の実力を知る機会を得られずにこの世を去った。その未練から異世界転生の資格を得た彼は、これ幸いと女神に対して“実力だけが評価される過酷な世界への転生”を要求!優しい環境もチート能力もすべて断り、無事、非力な奴隷の子どもに転生したタクミは、牢屋の中で奴隷の子どもたちを相手に情報収集を開始!さらにエルフと獣人の奴隷美少女を交渉の上で配下に加え、あっという間に奴隷商人へと出世していき―!?

異世界転生にて人生ハードモードで再スタートを果たした主人公の成り上がりの軌跡と“奴隷商人”として活躍する主人公がアウトローな世界であこぎな行いをする輩に遭遇したときに振りかざす制裁が痛快極まる。異世界転生補正を抜きにして清々しいチートぶりを抜きにしても、主人公がトラブルに遭遇したときの視野の広さと思慮深さ、そして情報処理能力の高さには、「これだけハイスペックな女神から何も授からなくともわが身ひとつで人生を切り開いていきそう……」と感じさせる要素が散りばめられていて読み応えがありました。

王道の『異世界転生』からの変化球に見せかけたストレートな『異世界転生』を突っ走る作品ではあるけれど、数ある『異世界転生』を土台にした作品のなかでも作者の魅力を感じる場面が多々あったので、可能であれば息が続いてほしい作品ではあります。

断罪官のデタラメな使い魔 (HJ文庫)

断罪官のデタラメな使い魔 (HJ文庫)

双子喫茶と悪魔の料理書

双子喫茶と悪魔の料理書 ショートストーリー特典付き (講談社ラノベ文庫)

《あらすじ》
「だって、篝はずっと誰かのために料理をしてきたでしょう?」二年前。幼馴染みの少女・葉月から、なにげなくかけられた言葉。きっとあの時、ただの幼馴染みは、初恋の少女に変わった―。そして現在。俺はいまだ葉月に告白できないまま、葉月とその双子の妹・水希とともに、彼女たちの実家の喫茶店でバイトをしていた。そんなある日、水希が持ち出した古本から―幼女が出てきた。彼女は願いを叶える妖精キキと名乗り、強引に俺の縁を結ぼうとする。だが、キキが俺の縁を結んだのは、葉月ではなく水希の方で…!?料理と、恋と、切なさと―。喫茶店が舞台の感動ストーリー!

デビュー当時から今作に至るまで作者買いするくらいに熱心に追い続けてきたけれど、書き上げるジャンルは毎回異なっていても安心して手を付けることができるくらい安定したクオリティで作品を世に送り出してくれる。もう自分の中では『講談社ラノベ文庫が抱える中堅作家』くらい存在感のある人として認識してます。

“双子喫茶と悪魔の料理書”に登場する中心人物の人間関係を大まかに表すと『主人公と双子姉妹の幼なじみの三角関係』を妖精の不思議な力で因果を捻じ曲げたことがきっかけで、これまでの幼なじみ同士の馴れ合いから一歩進んだ恋人関係に踏み込むことでもたらされる日常の変化が切なく描かれていて心に染み入る。
わかってる、わかってるよ! 妹の水希が本当は姉が好きな主人公に向ける笑顔の端々から漏れ出る感情も、水希が本音を隠して主人公を応援する光景も。メタ思考が働いて「水希は絶対に主人公が好きなはずだ!」と勘繰って読み始めると、水希の健気さが死ぬほど辛くて、パラレルワールドでも妖精の力でもいいから報われて欲しい! そんな感情に駆られるなかで、妖精の力が介入した後の三人のやり取りを見せられると、ベタな展開だとは思えても感動を呼び起こすストーリーとしては大変に満足のいく内容だと思う。
続巻が出るか定かではないけれど、好きな作者なので是非とも期待したいです。

救世の背信者 (講談社ラノベ文庫)

救世の背信者 (講談社ラノベ文庫)

電波な女神のいる日常 (講談社ラノベ文庫)

電波な女神のいる日常 (講談社ラノベ文庫)

サービス&バトラー (講談社ラノベ文庫)

サービス&バトラー (講談社ラノベ文庫)

六畳間の侵略者!?26

六畳間の侵略者!?26 (HJ文庫)

《あらすじ》
エゥレクシスを破り、エルファリアの皇権も回復した新生フォルトーゼ正規軍は、ついにクーデター軍との決戦に臨む。シグナルティン、サグラティンを失いながらも、多くの“仲間”に支えられて奮戦する孝太郎。しかし、暴走したヴァンダリオンの操る凶悪な兵器が、圧倒的な力で宇宙を蹂躙せんと迫る!果てなき激闘の末、フォルトーゼに訪れるものとは…!?剣に込められた思いと輝きが未来を切り拓く!“黄金の姫と青き騎士編”ついに最終章!!

伝説の英雄“青騎士”とフォルトーゼをつなぐ物語もクーデター軍との決戦を迎え最終章に突入。晴海に憑依する形で二千年の時を超えて再来したアライア殿下とのやり取りが、六畳間ファンの心に染みてくる素晴らしい展開だったのは言うまでもない。少なくとも、孝太郎とクランが二千年前のフォルトーゼで成し遂げた功績とアライア殿下との別れの一部始終を描いた外伝で、死ぬほど悶え苦しむことになった自分にとっては、全巻を通しての集大成が詰まった1冊に感じられました。

六畳間に集うメンバーが総出になって、魔法・科学兵器・霊力を駆使してクーデター軍に反撃する流れも、孝太郎たちの崇高な信念と“囚われの姫君を悪の手先から救い出す”という構図が、わかりやすく勧善懲悪の枠におさまっていて、なおのこと六畳間のメンバーたちの気高さが強調されることになっていた。
『敵の敵は味方』とも呼べるような、かつての宿敵との共闘。こんな少年漫画のような熱いバトルも構えられたら、感情の揺れ幅が振り切れ過ぎて行き場のない感情に襲われてしょうがない。シリーズ最新刊が出るたびに、シリーズ最高傑作が更新されていく。