働きたくない村人のラノベ日記

ブログ開設2014年5月30日

<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 6.<月世の会>

<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 6.<月世の会> (HJ文庫)

《あらすじ》
大学の始業までの間思いっきり遊ぶことを決めたレイは、ルークやマリーと共に海へ行く約束をしてゲーム内の宿屋で仮眠をとった。そして目が覚めた彼の前に現れたのは見知らぬ天井。レイは、王国最大の宗教クラン・“月世の会”に拉致されていた!!現実でも宗教組織のトップに君臨し、王国最後の“超級”であり、実は大学の先輩でもあった月夜の目的とは―。「うちは、“女教皇”扶桑月夜。“月世の会”のオーナーや―よろしゅう」

こんなVRMMOが実在したら間違いなく廃人プレイヤーを大量生産してしまう。エンブリオのネメシスの挙動も思考もまさに人間そのもの。
椋鳥玲二ことレイ・スターリングのリアルでの大学生活と余暇時間としてプレイするインフィニット・デンドログラムの世界で過ごす時間は、ネメシスにとっての現実と玲二にとっての現実に隔たりを生じさせる。ネメシスの中に芽生えた感情の根源が鮮明になってくるほど、読み手として「システムとして生成されたエンブリオでしかないけれど、何かしらの形でネメシスの感情を発露させてあげたい」という感情に駆られる。端的に言えば「ネメシスがクソ可愛いので押し倒して欲しい」

インフィニット・デンドログラムの世界の正体や今回の一連の騒動の終結に待ち構えるティアンとプレイヤーの間に産まれた子どもとは……。まだまだ謎の多いVRMMOの世界ではあるけれど、シリーズが進むにつれて思うのは、こんな自由度が高くプレイヤーのスタイルだけキャラメイクに幅のあるゲームがあったら絶対にプレイしたいということ。
もっとも主人公のレイ・スターリングのように成長過程を著しく間違えてピーキーすぎるキャラメイクになって相性次第でボロ負けしそうな構成になったら絶望しそうだけど、まず間違いなく面白そうだということは言える。
総括としては、『こんなVRMMOがあったら是非やってみたい!』と思えるラノベでした。

<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 6.<月世の会> (HJ文庫)

-インフィニット・デンドログラム- 6.<月世の会> (HJ文庫)

ソードアート・オンライン プログレッシブ5

ソードアート・オンライン プログレッシブ5 (電撃文庫)

《あらすじ》
“黒ポンチョの男”との危険な邂逅を経て、“アインクラッド”第五層を突破したキリトとアスナ。ふとしたことから、奇妙な同居生活を送ることになった二人が次に挑むのは、“パズル”だらけの第六層。そして二大ギルドの均衡を揺るがす“ぶっ壊れ”アイテム“フラッグ・オブ・ヴァラー”の扱い、扇動PK集団の脅威。数々の問題を抱えながらも、二人は第六層の連続クエスト“スタキオンの呪い”に挑む。その先で悪意に満ちた“罠”が待ち受けているとは知らずに―。

SAOPで初の上下巻構成!!まだ第六層!! 終わる気配が見えない!!!
アインクラッド攻略に向けての丁寧なクエスト消化、最前線で挑み続けるプレイヤーたち、徐々に力を示しつつある殺人ギルド“ラフィンコフィン”の存在。これら全てを丁寧かつ壮大なボリュームで書き連ね、読み応え抜群の完成度で世に送り出されたら100%のクオリティと満足度のカタルシスに浸れると同時に『まだ第六層のボス攻略に全然たどり着いてないじゃない!?』という虚無感に襲われて、「刊行ペース上げろ!?」とクレームを入れたくなる。

キリトとアスナの関係性については言わずもがな。デスゲームの世界で暗躍する殺人ギルドの存在が、『システムの盲点を突く』手段でPKを仕掛けてくるのではないか? そんな虚構に駆られる心境から偶発的に『キリトとアスナの二人で同じホテルの部屋に泊まる』ラッキーな展開に自然な流れで持ち込む手際の良さ。物語の流れをふまえつつイラスト映えする展開を挟みつつアスナの健気な姿を楽しめる。初期の頃のツンデレ具合が心地よい。

ソードアートオンラインの見せ場ともいえるバトルを繰り広げるシーンが今回もいくつか用意されており、件の殺人ギルドの襲撃により圏外PvPにまで発展。
お互いに命がけのデュエルとあって切り札を繰り出すタイミングにプレイヤーたちの信念がこもっていて、戦局が目まぐるしく変わる状況下でのフィールドを上手く活用した起死回生の一手が炸裂する場面もあって手に汗握る展開。やっぱりソードアートオンラインは傑作だとあらためて実感する瞬間でした。

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 (角川スニーカー文庫)

《あらすじ》
5年片想いした相手にバッサリ振られたサラリーマンの吉田。ヤケ酒の帰り道、路上に蹲る女子高生を見つけて―「ヤらせてあげるから泊めて」「そういうことを冗談でも言うんじゃねえ」「じゃあ、タダで泊めて」なし崩し的に始まった、少女・沙優との同居生活。『おはよう』『味噌汁美味しい?』『遅ぉいぃぃぃぃぃ』『元気出た?』『一緒に寝よ』『…早く帰って来て』家出JKと26歳サラリーマン。微妙な距離の2人が紡ぐ、日常ラブコメディ。

家出をした女子高生とサラリーマンのなし崩し的に始まった同居生活。家出をしてことあるごとに男の家を転々としてきた少女・沙優が善意だけで家に泊めあまつさえ生活の面倒を見てくれるサラリーマンの吉田に出会うことで、彼女の育った家庭環境や境遇が植え付けた
固定概念のようなものを徐々にほぐしていく繊細な描写が丁寧に描かれていて素晴らしかった。
沙優のセリフの端々にも年齢相応の幼さの残るニュアンスがうかがえて、独身生活の長い吉田の家にいつも帰りを待ってくれている女性がいるだけでどことなく癒される感じもある。
一人暮らしは自分以外の生活音の発信源がなくなり自宅内の静寂がより顕著に感じられるのだけど、沙優が現れてからは会社から自宅に戻る楽しみも生まれ、生活習慣も規則正しくなり、身だしなみに関しても同僚の目からわかるほどに改善されて、『吉田のなかでも何かが変化しつつある』ことを実感させる描写がある。

そんなサラリーマンの吉田と女子高生の沙優の同居生活が始まるきっかけから、日々の生活を通じて二人のなかで芽生える変化の兆し、そして『女子高生と同居』がもたらす修羅場とラブコメの嵐。
どれをとっても傑作としか言い様のない素晴らしい作品であり、角川スニーカー文庫から送り出されたカクヨム書籍化作品としては大きな成功例ともいえるので、是非とも今後の活躍を期待したい作品です。


ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 (角川スニーカー文庫)

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 (角川スニーカー文庫)

俺の青春に、ゲームなど不要!

俺の青春に、ゲームなど不要! (電撃文庫)

《あらすじ》
中学のころ病弱で引きこもりがちになり、ゲームしか友達がいなかった少年・坂木修司。いつしか有名実況プレイヤーとして知られた彼だったが、最近はゲーム依存から抜け出し、少しずつ体調改善して「普通の高校生活」を目指していた。だがそんなある日、黒歴史として封印していた過去の動画をある人物に見られてしまう。藤代姫佳。修司のクラスメイトで、文武両道の優等生。しかし彼女は、厳しい親の教育方針と「学校やクラスメイトからの期待」に疲れ、何かまったく別の「夢中になれること」を探していて―?“脱ゲーム”をしたい少年と、ゲームに「やりたいこと」を見出し始めた少女の、かけ違いゲーム青春コメディ!

前作に引き続きテレビゲームを題材にした作品であり、『脱ゲーム”をしたい少年と、ゲームに「やりたいこと」を見出し始めた少女の、かけ違いゲーム青春コメディ』として世に送り出したのだろうけど、ゲームと青春コメディを両方バランスよく取り入れた結果、突出した持ち味がない没個性の作品に成り下がっている感じが否めない。

藤代姫佳がゲームにやりたいことを見出したきっかけが、厳しい親により抑圧された家庭環境からくる反動のようなものであり、作中でも語られるシーンがあることから物語の後半にかけて関連付けた展開が用意されるのかと思ったがそうでもなかった。

坂木修司が脱ゲームを掲げるなか、かつてのゲーセン仲間に弱みを握られ対戦を申し込まれ、同級生の藤代にゲームの教えを乞われ、しぶしぶ承諾してなんやかんやで根っこの部分で“まだゲームが好き”であることを自覚させられる。
ゲームをプレイするシーンのゲーム内の細かいシステムまで丁寧に描かれていて、キャラクターを通じてプレイしているなかでの和気藹々とした光景が楽しめてよかったです。

しかし、全体的にみると『前作に比べて突出した要素が感じられず消化不良に終わる作品』という印象が強く残ります。
総合的な評価は『ゲーム青春コメディとして普通に面白い』くらいに留まるので、ひとつ個性を強調する要素が欲しかったところではあります。

俺の青春に、ゲームなど不要! (電撃文庫)

俺の青春に、ゲームなど不要! (電撃文庫)

彼女と俺とみんなの放送(2) (電撃文庫)

彼女と俺とみんなの放送(2) (電撃文庫)

異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術9

異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術9 (講談社ラノベ文庫)

《あらすじ》
MMORPGクロスレヴェリのトッププレイヤー坂本拓真は、異世界に召喚され、魔王ディアヴロを演ることに!?次なる敵は多くの魔王を吸収した大魔王!?今のままでは勝てない、と判断したディアヴロは剣聖を訪ね、戦士としても人族の限界を突破した。だがその頃、城塞都市ファルトラに魔王軍が侵攻してくる。冒険者エミールや領主ガルフォードらが剣を取るものの、敵の強さは、人々の予測を遙かに凌駕しており…!?「クックックッ…大魔王などと名乗っておきながら、我を知らぬのか?無知の極みだな!」やがて世界を震撼させる魔王(演技)が、絶対的な強さで突き進む異世界冒険譚、第九幕!そして、本巻にて重大発表アリ!

こんな破廉恥きわまりないライトノベルをアニメ化させるなんて講談社ラノベ文庫はどうかしてる!!
魔王ディアヴロの“魔王らしい”他者を寄せ付けない圧倒的な力の差から放つ唯我独尊で傲岸不遜なロールプレイが自然な流れで18禁展開を招き入れ、ファンタジー世界らしい“力の供与”などの理由をこじつけて合法化させる周到さが憎い。そう。窮地を打開するための“力の供与”なのです。決して性欲に負けて、「ただ胸を揉みしだいていた」なんてことはないのです!
いやー、もうね。魔王ディアブロ異世界での旅路に必ず自然な流れでこんな展開に導く作者の技量は素晴らしいね。しかも、ヒロインに迫られて蠱惑的に迫られて絶対に抜け出せない窮地に陥っていても、1巻における引きの演出としてスパッと切らせるとか天才ですか。

むらさきゆきや先生の(おそらく)初アニメ化作品となる“異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術”は、プロローグからヒロインふたりがディアブロの装備に付与された魔法反射で奴隷になるところからスタートします。魔法が飛び交うファンタジー世界なので、奴隷になった相手に命令を下すことができます。ヒロインはずっと首輪をつけたままです。エロいです。ヤバいです。
むらさきゆきや作品の初手がこの作品だとあれなので、是非とも“14歳とイラストレーター”とか“覇剣の皇姫アルティーナ”を先に手に取るようにしてください。

英雄の娘として生まれ変わった英雄は再び英雄を目指す

英雄の娘として生まれ変わった英雄は再び英雄を目指す (角川スニーカー文庫)

《あらすじ》
英雄の男が転生した先は―仲間の娘!? 美幼女転生ファンタジー、開幕!!
魔神との戦闘で命を落とした英雄の男・レイドが転生した先は、なんと仲間夫婦の娘!?赤ちゃんとして目覚めたものの、「さすがに元仲間の母乳にはむしゃぶりつけない!」と、プライドゆえに授乳拒否、結果として虚弱な美幼女へと育つことに。しかし、勇者と聖女の娘なら、誰よりも強くなれると気付いたレイド。前世の経験と親譲りの才能で、夢だった魔法剣士として再び英雄を目指すんだ!元英雄・現美幼女が送る、成長の英雄譚!!

英雄の男・レイドが転生して第二の人生を歩むことになった先が、元英雄の仲間の娘……、そんな事態になっているとはつゆほども知らず(レイド自身も面倒になることがわかっているので明かしていない)、待望の愛娘として成長を見守られる。
かつての仲間の母乳を吸うことを強いられ(レイドは断固として拒否!)、父親(同性のおっさん)とのスキンシップを迫られ(レイドは断固として拒否)、母親(入浴中の姿を覗きに行くほどの異性)の裸体を合法的に拝むことができ、TS転生ファンタジーの遊び心が満載でとても面白かった。

異世界転生を土台に物語を広げていく作品は数多くあるが、主人公である英雄・レイドの転生前後のエピソードを活かしたキャラクターとの掛け合いが絶妙。
元英雄・現美少女の成長の英雄譚のなかで、レイド以外の元英雄たちの世界における役割とポジションを描きながらも個性を引き出してくれるためにキャラクターに深みが感じられる。

特に、六英雄のひとりで、レイドに好意を抱いていたにも関わらず照れ隠しでプロポーズを断った挙句、誤解も解けないまま死に別れてしまい未だにレイドを想い続けるコルティナというキャラクター。現代に語り継がれる英雄の軌跡だけをなぞれば、『口先ひとつで千の命を散らせた猫人族の賢者』に留まるけれど、英雄同士のフランクな距離感で語られる彼女の人物像はただのツンデレちゃんだし、おそらくこの先も叩けばさらにネタが出てきそうなキャラクターではある。
他の英雄たちにおいても面白そうなエピソードが散見されているので、この先も是非とも既存のキャラクターを活かした展開に期待したいです。

最後に『レイドが(美幼女として)転生した』事実がコルティナの知るところになるのか定かではないけれど、コルティナが可愛すぎるので早く何らかの形で彼女のレイドに向けた感情を発散させてほしいです。

貴方がわたしを好きになる自信はありませんが、わたしが貴方を好きになる自信はあります

貴方がわたしを好きになる自信はありませんが、わたしが貴方を好きになる自信はあります (ダッシュエックス文庫DIGITAL)

《あらすじ》
もし仮に、世の中の人間をふたつの種類に分けるとしたら。あなたなら何と何に分けますか? ――「吸血鬼とそれ以外、だな」 ――「いいえ。運命の人に出会えるか出会えないか、です」 神谷誠一郎(かみやせいいちろう)、二十八歳。職業は猟犬(ハンター)――吸血鬼を狩る者。 ある夜、彼のもとにひとりの少女がやってきた。 綾瀬真(あやせまこと)、十四歳。世界で唯ひとりの『生まれつきの吸血鬼(ナチュラルボーン)』。 とある恩人の縁を頼ってきた彼女を誠一郎は受け入れ、ふたりは同居生活を始めるのだが――いつしか彼らは、吸血鬼の謎をめぐる思わぬ事件に巻き込まれていく。 年の差十四歳、狩る者と狩られる者の危険な恋物語、開幕!

わたし(読者)が貴方(真)を好きになる自信はありますが、貴方(真)がわたし(読者)を好きになることはない。次元の壁は厚い!!
自分で言っていて意味がわからないです。

『文句の付けようがないラブコメ』という超傑作ラブコメを無事完結までたどり着かせ、新たなラブコメを世に送り出してきた鈴木大輔先生。どんな作品かって? タイトルとあらすじのとおりだ! と言えば全てが済みそうですが少し補足。

吸血鬼の少女である綾瀬真と吸血鬼ハンター神谷誠一郎。相容れない存在であるはずの二人が、真の母親の伝手により誠一郎のもとにかくまわれることに。二人のファーストコンタクトは真の生い立ちや吸血鬼をとりまく世情もあり物騒な状況での出会いとなったが……、なぜか真が頭の悪いくらいに好感度むき出しのベタぼれ。
なんだろうこの既視感……、そういえば『文句の付けようがないラブコメ』もユウキとセカイが出会ってすぐにプロポーズする展開だったっけ。
この作品も、揺るぎない好感度をフルスロットルにして物語の結末をある程度示唆させて楽しませるタイプなんですかね。
ブコメとしては間違いなく傑作に入る部類の新作です。

吸血鬼に関連する話題においては、吸血鬼ハンターを生業にする誠一郎のアウトローの世界での生き様や、吸血衝動に駆られて自我を失った吸血鬼の末路、吸血鬼が人間の世界にはびこる社会情勢を織り込んだ世界観が丁寧に作られていて、ラブコメを抜きにしても歯ごたえのある物語でした。

長期シリーズ化を視野に入れた物語の構成になっているので、読み切ったあとに訪れる読後感は少し薄いように思いましたが、おそらくこの作品が全て書籍となって綴られて手元に届くころにはさらなる鈴木大輔信者になりそうです。