働きたくない村人のラノベ日記

ブログ開設2014年5月30日

お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか3

お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか3 (ファンタジア文庫)

《あらすじ》
庄川さんの妹、真琴さんは魔光少女じゃない。(一般人!)彼女の恋を成就させるため、夏休みの旅行でもフォロー命な僕。水着に花火に肝試し、夏の定番イベントでいつも通りフォローは完璧!…と思ってたら、魔光少女二人の方はいつもと違う様子。庄川さんと好乃さんからの『特別』発言によって僕らの関係に大きな変化が訪れて―。「平地くん、今度は…私から。進もうと、思うの」「ツネちゃんはさ、恋してる相手っている?」…はい?修羅場?いやいや、お助けキャラを奪い合うわけないじゃないですか。無自覚包囲の勘違いラブコメ!

勘違いが連鎖してお助けキャラの平地を奪い合う修羅場の勃発!! 真琴の空橋への片思いの行方は!!
第3巻にして無事に完結を迎え、概ねすべての勘違いに目途をつけてスッキリさせられてました。鈍感系とは違い「なんで、そういう認識をするの!?」といった具合の展開の連続で、会話が最後になるまでかみ合わず平行線のまま成立している構成が笑いを誘う作品でした。しかし、この平行線の展開も数巻おきにある程度全体で足並みを揃えておかないと、キャラクターごとの勘違いの立ち位置への認識が薄まってくるのが酷ですね。もちろん、各巻で物語の流れを読み進めいくなかで程度記憶は呼び起こせるのだけれどモヤモヤしたものがあると少し気になりました。

庄川真帆の正体が魔光少女である事実はとうとう周囲にバレずに隠し通すことができたけれど、最後まで真帆のマスコットキャラはポンコツで正体を露見させる一因になってました。たぶんイラストがブサイクだったらムカついてぶん殴ってますね。こういうポジションにいるマスコットキャラはサポート役が定番だと思うけれど害獣ですよコイツ。あっ、コイツって言っちゃった。

自分は1巻のファンタジア文庫デビューから好きな作品でしたので、3巻で完結を迎えられて嬉しくもあり、終わってしまったという悲しくもあります。
次は、次回作が出会えることを楽しみにしたいと思います。
告知なしに新作が刊行されても特徴的なペンネームなので十中八九気が付きます。

ハーレム・スコードロン ops.01

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《あらすじ》
航空技術が高度に発達した世界―。暴空族に襲われる少女・灰松五色を圧倒的なヘリ操作で助けた京塚結人は、空対空戦を極める“ACTS”へ入隊を果たす。鳴り物入りでACTSに加わった結人は、エースパイロットに成長した幼馴染み・天草奈雲とバディを組んで空を守る任務に就くが、彼と一緒に飛びたい少女が次々と迫ってきて―「結人君、手取り足取り教えてよー」「君に…興味がある」「ちょっとみんな!ユイ君は私と組んでるのよっ!!」そんなハーレムも束の間、世界の秩序を脅かす五色の秘密が明らかになり!?美少女ヘリコプターアクション、テイクオフ!

www.fujimishobo.co.jp

民間の配達業務で圧倒的なヘリ操作技術を身に着けた京塚結人だけど、彼の技術を客観的に印象付けるインパクトがいまひとつ弱い。幼馴染みでエースパイロットに成長した天草奈雲の扱いも、彼女が転校するに至った告白の件も、正統派ヒロインとしてのポテンシャルはかなり高いと思うのだけれど、他の女性キャラクターが多くて魅力が希薄に感じられました。幼なじみだけは他のキャラクターと差別化する演出があれば、「結人に告白したけど“偽告白”と捉えられてる」悲惨な恋の結末を活かす機会があったのではと思いました。

肝心のヘリコプターサクションについては、かなりマイナーなジャンルを攻めてきている割には専門的な航空用語もコンパクトにまとめられていて、門外漢な読者に対してもとても読みやすいレベルでした。もうワンランク専門性を上げて航空機のジャンルを幅を広げても許容できる範囲で楽しめそうではあるかも。そこんところは個人の好みによりだと思います。
作中であまり掘り下げる機会はありませんでしたが、学内順位の仕様もあるみたいですし、序盤でかませ犬の如く主人公にイキって模擬試合を挑んでボコボコにされた上級生モブのおかげで学内試合の仕様も明らかになっているので、ヘリコプターアクションを活かす伏線はまだまだあるようです。
学内試合となると、暴空賊を相手にした実践とは異なりそれなりの制限を課せられたなかでの試合になることだと思います。圧倒的な操作技術を有する主人公が真に活躍できる場面が見てみたいですね。
クライマックスのバトルシーンは機体性能が勝負の行く末を分けた展開になって腑に落ちなかったので、次巻に期待です。

編集長殺し (3)

編集長殺し (3) (ガガガ文庫)

《あらすじ》
「一巻打ち切りどころか、絶版回収レベルの新入りね」私にできた初めての後輩、小山内桐葉さん。けれど編集長以下、皆さんの評価は大変厳しいです。憎めない元気な子だと思うのですが…とはいえ、私も人の心配をしている場合ではありません。何せ今も目の前で、お怒りの方が。「あの誤字脱字野郎、ふざけやがって…。もし直接会ったら、小指をトルツメしてやろうかな」校正用語を物騒に使わないでください!―ちょっぴり過激な校正者の山田さん他、個性派メンバーが盛りだくさん!ますます賑やかな編集部るぽラノベ第3弾!

漢方の信奉者ことギギギ文庫編集者・岩佐さんが口に銜えている漢方薬ツムラ乙字湯(効果:キレ痔、イボ痔)だとすると、編集者は長時間のデスクワークで同じ姿勢を保つ職業で痔になりやすいことを社会に訴えているんですかね。もっとも、この物語はフィクションであり実在する個人団体企業とは一切関係ないはずだからそんなことはないはずですけど……。

余談はこの程度にして、ラノベ編集者として邁進する川田さんの奮闘、校正作家さんのおしごと、憎める後輩小山内さんのヤバいエピソード集などなど。途中、某小説家になろうとするWebサイトへの言及を皮切りに昨今のラノベ業界の話題に切り込む場面もいくつかあり、ひとりのラノベファンとしてとても有意義で好奇心を刺激させられる内容がてんこ盛りで読みごたえがありました。
所々に、幼女編集長による圧制が敷かれる過酷な労働環境のなかで、編集長を除いた社員が裏で一致団結して陰で羽目を外してシャレにならないポカをやらかすなど、社会人キャラならではのネタが満載でツボにハマって面白かったです。これだけの過酷な労働環境の実態を見せつけれて“ラノベ編集者になりたい!”と思う人がいたら生粋の変態だと思います。

ギギギ文庫の赤字覚悟でラノベ業界のパイオニアとなるために打ち出す新作への熱意は素晴らしいです。その勢いでリアルに編集長殺しを達成して歴史に名を刻んでほしいです。

地球最後のゾンビ -NIGHT WITH THE LIVING DEAD-

地球最後のゾンビ -NIGHT WITH THE LIVING DEAD- (電撃文庫)

《あらすじ》
全世界を襲ったゾンビパンデミックから5年後―、人類はほぼ全滅していた。荒廃した東京をひとりさすらう少年ユキトはある日、「死ぬまでにやりたい10のこと」のため北海道を目指し旅をしている少女エコと出会う。いつも笑顔で明るい彼女だが、その正体は他に例のない“ゾンビ化していないゾンビ”だった。彼女の死を見届けるため、人類の敵とふたり旅に出ることにしたユキト。決意を胸に、朝日とともにいざ出発しようとするとエコがかわいく抗議の声を上げた。「ゆっくんは、デリカシーがないなあ。支度はすぐだけど、昼間は出たくないの」尖った口先が、つまらなそうに続ける。「腐っちゃうから」

電撃文庫著作の「ひとつ海のパラスアテナ」と「この大陸で、フィジカは悪い薬師だった」をネタにした会話劇が行われていたことにお気づきでしょうか。
どちらも名作だっただけに、エコの口から出た「スケベニンゲン!!」というセリフが響いたファンは少なからずいると思います。自分がその数少ない一人です。終盤に近いシーンで登場するので、既読のかたはアンテナを張って読んでみるのもありだと思います。

さてさて、ゾンビ化していないゾンビになった少女“エコ”と偶然知り合った少年“ユキト”による旅路は、『人類がほぼ全滅した』事実を客観的に印象付ける描写として道中で立ち寄る都市部の惨状や生活インフラが崩壊しているなかでの質素な生活模様が詳細に描かれています。物語の中の世界に生きる人々の生活様式や歴史などの下地をガッチリと固めていき、冒頭の展開からイメージ増を明確に印象付けてくるので、『ゾンビパンデミックが起き、人類がほぼ全滅した』という独創的な世界をじっくりと味わうことができて、大変に面白かったです。
エコによると、ゾンビの長生きの秘訣は『昼間は外に出ないことで体を腐らせない』こと。美容液はホルマリン。お風呂も厳禁だそうです。こういった細かな脚色が、独創的なゾンビワールドをコミカルに楽しめる一因を担っていて良かったです。

地球最後のゾンビ -NIGHT WITH THE LIVING DEAD- (電撃文庫)

地球最後のゾンビ -NIGHT WITH THE LIVING DEAD- (電撃文庫)

ひとつ海のパラスアテナ (電撃文庫)

ひとつ海のパラスアテナ (電撃文庫)

美少女作家と目指すミリオンセラアアアアアアアアッ!!4

美少女作家と目指すミリオンセラアアアアアアアアッ!!4 (角川スニーカー文庫)
sneakerbunko.jp

《あらすじ》
ミリオンセラーを目指すラノベ編集者の清純は、新人賞選考で物議を醸した超問題作を担当することに。しかし打ち合わせにやって来た作者は、まさかの女子小学生!さらにひよこがそのJSに弟子入りすると言い出して―。「プライド?なんで?自分より凄い人にものを教えてもらうのに、肩書きとか年齢は関係ないよ?」かくしてJS・美門のスパルタラノベ講座が開幕…のはずが、なぜか3人で遊園地デート!?美門のドSすぎる指導&ひよこの天然すぎる回答に振り回される清純だったが、実は美門には応募作品を出版できない秘密があって…。

ラノベ編集者による新人賞選考における候補作の分析が細部にまで丁寧に肉付けがされていて、作中作に対する語りのはずなのにリアリティーがあり素晴らしかったです。一般のラノベ読者が目にすることのできない世界の出来事が清純たちを通じて描かれていて好奇心も刺激されました。ラノベ業界ラノベは、まず面白いことが大前提にあるけれど、『(真偽は不明だけど)一般人が知らない世界』が描かれているので相加効果で楽しめるから好きです。

サンダル文庫による生放送事件をきっかけに一躍時の人となりラノベ編集者清純が巷で『三股野郎』だの『爆発しろ』だのと後ろ指を指されるなか、担当作家の天花は作家としての成長の片鱗を匂わせ、ヒヨコの新作のラノベ抹殺委員会は営業からの重版が知らされ、ソレイユは裏の人格が露見してファンから煽られ……、一番吉報がないソレイユさんが不憫ですね。
とまあこんな具合で、ラノベ業界での清純の仕事ぶりを描きつつなんやかんやでフラグを乱立させているJC、JD、OLとのラブコメも良い塩梅で効いてくる素晴らしい作品です。
たまに主人公が初登場のJSに電流プレイを迫られたり、JSに踏みつけられて快楽を覚えて笑みを浮かべたりする変態的な一面はあるけれど、ラノベ編集者としての腕は確かです。都合の悪いことは難聴系主人公で聞き流す朴念仁ですが、編集者としての熱意は引くほど輝いている素晴らしい主人公です。是非とも、未読の方は読んでみてください。

イラストレーターのMika Pikazoさんのイラストは素晴らしくて大好きです。ソレイユさんが一番好きなのでモノクロ1枚目のイラストが一番好みに刺さりました。続巻で描かれるキャラクターたちのイラストも楽しみにしてます。

特殊性癖教室へようこそ2

特殊性癖教室へようこそ2 (角川スニーカー文庫)

《あらすじ》
「出来る限り全ての生徒に対して、家庭訪問を行ってください」学級委員長・恭野文香から伝えられた今回の宿題―その中でも胡桃沢朝日の家はヤバかった。ビ●チを超えた未知との遭遇。圧倒されてしまう伊藤。そんな中、朝日は不出来につき、転校させると告げられ…!?大物議の末、1巻が重版に至った超問題作。過激でHな性癖エロコメディ第2巻!!

特殊性癖教室の生徒・胡桃沢朝日の家族が相当にヤバかった件。高度に発達した特殊性癖は異能バトルとなりテクノブレイクをも実現させるポテンシャルを秘めていました。即ハメ即セックスを家訓にする胡桃沢ファミリー恐るべし!!
前述のとおり、担任の伊藤が受け持つ生徒の一人である胡桃沢家への家庭訪問の際の一連の騒動を描いた物語になっていました。1巻の流れから察するに、2巻でも怒涛の勢いで生徒たちの特殊性癖をコンプリートさせるのかと思ったけれど、兼ねてからスポットを当てていた胡桃沢をフォーカスさせる展開に持っていくとは予想外でした。
しかしよくよく考えてみると、比較的に常識人の共野やドMの伏黒と同じく胡桃沢は(登場回数的な意味での)露出頻度が多いイメージがあったので、伊藤先生の周囲を固めるサブキャラクターなポジションとして考えればしっくり来ますね。
もっとも、この先往年の学園ドラマの如く生徒一人一人の家庭環境や素行を深く掘り下げていくことになったら、超ロングセラー特殊性癖エロコメディという化け物作品を爆誕させることになるので現実的ではないかなぁ。

犯罪は明るみにならなければ犯罪にならない。教室で生徒に鞭を打ちつけてドMに快楽を与えようが、女子生徒のパンツを奪って装備しようが通報されなければ牢獄にぶち込まれない。こんなカオスな世界は『のうコメ』や『パンツあたためますか』や『イックーさん』を世に送り出した角川スニーカー文庫ならではの変態ホイホイ。類は友を呼ぶの出変態作家の集まるところには変態作家が集まる因果なので、これからもドンドンアクの強い作品でラノベ界隈で存在感を放っていてほしいですね。

特殊性癖教室へようこそ2 (角川スニーカー文庫)

特殊性癖教室へようこそ2 (角川スニーカー文庫)

あんたなんかと付き合えるわけないじゃん! ムリ! ムリ! 大好き! 3

あんたなんかと付き合えるわけないじゃん! ムリ! ムリ! 大好き!  3 (HJ文庫)

《あらすじ》
自分の意志を貫き通そうとした結果、改めて周りの人たちの優しさや、小春を傷つけていた事実に気がついた悟郎。立ちはだかる現実に苦悩する悟郎に対し、小春はある提案をする。『あたしが今までできなかったこと、全部かなえて!』この言葉をきっかけに、悟郎は小春のワガママをかなえようと、女子高に潜入したり、春休みを利用して旅行へ出かけたり、小春のご両親に挨拶をしに行ったりするが―…。一途すぎる二人が紡いだ“どうしようもない青春ラブコメ”、ここに完結。

悟朗と小春の関係が周囲に知れわたり、立ちはだかる現実に打ちのめされて苦悩した場面から一変。亡くなったはずの小春と一緒に生きている現状と真正面から向き合い、これまでの騒動の全てにケリをつけ日常を取り戻すまでの軌跡が描かれていて、文句なしの読後感に満たされました。

小春の存在を悟朗以外にも認識させるために編み出したトリックで明菜たちの誤解が無事に解かれる瞬間は、悟朗の理解者が現れたことに対する安堵感と、小春との再会で話に花を咲かせるシーンが夢のような光景で感動的でした。

死んだ人間と生きている人間が共存するのはどんな事情があれ絶対にあってはいけない。しかし、現実に起きてしまったことがきっかけとなり、小春が悟朗との日常に関わっていくなかで『生きていたら当たり前に手が届く』ことに憧れてしまう。小春と悟朗の関係性も二人の一途すぎる想いの数々もこれまで散々見せつけられてただけに、小春の叶えたいワガママの数々が「叶えてやりたい!!」と共感を覚えさせるも、善悪の区別なく亡くなった人間が辿る運命をぶつけられるため、激しく感情が揺さぶられました。

何も思い残すことなく無事に消えていった小春を見送ることができ、そして無事に完結まで全ての物語を描ききれた作品を読み切ることができてとても嬉しいです。