働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

陸と千星~世界を配る少年と別荘の少女

陸と千星~世界を配る少年と別荘の少女 (ファミ通文庫)
もうひとつの“泣けない"少女と“笑えない"少年の物語。
両親の離婚話に立ちすくむ千星。
明るく笑ってみせることで、壊れそうな家の空気を辛うじて保ってきた。
けれど本当は、三人で一緒にいたいと、素直に泣ければよかったのだろうか……。
新聞配達のアルバイトを続ける陸。
母は家を空けたまま帰らず、生活のために必要だった。
ただ絵を描いていたい、そんな願いも叶わない。
それを恨んでも憎んでもいないけれど、今まで自分は笑ったことなどあったのだろうか――。
そんな二人が、出会う。切なく繊細な一夏の物語。





“陸”が新聞配達のアルバイトで偶然出会った一人の少女“千星”。二人の出会いと別れを描いた一夏の物語。
自分の言葉で上手く表現できないのが悔しいけど、とにかく読んでみればわかるとだけ言っておきたい。一夏の時期だけしか出会う機会がない二人が、お互いに口数が少ないため思いを寄せることしかできず、最後の日を迎えたときに感情を吐露したときはもう最高でした。
もうひたすら新聞配達をする“陸”とそれを受け取る“千星”のやりとりを中心に永遠と読んでいた印象しかありませんでしたけど、とにかく最高でした。これを読み終わった後に思わず「この作品は国語の教科書に載せれば僕頑張って勉強するよ」とまでツイッターで一人呟いてました。
エピローグまで読み終わったあとは、“陸”と“千星”がこのあとどのような人生を進んでいくのか……というifストーリーを思い描き「二人には是非再会してほしいなあ」と感慨にふけったりします。
1巻読みきりの作品ではありましたが本当に感動する一冊でした。野村美月作品は神ですね!