働きたくない村人のラノベ日記

ブログ開設2014年5月30日

異世界食堂 1

異世界食堂 1 (ヒーロー文庫)
オフィス街に程近い商店街の一角、犬の看板が目印の雑居ビルの地下1階にその店はある。猫の絵が描かれた扉の食堂「洋食のねこや」。洋食屋といいながら、洋食以外のメニューも豊富なことが特徴といえば特徴のごく普通の食堂だ。しかし、「ある世界」の人たちにとっては、特別でオンリーワンな一軒に変わる。「ねこや」には一つの秘密がある。毎週土曜日の店休日、「ねこや」は“特別な客”で溢れ返るのだ。「土曜日の客たち」=「ある世界の人たち」にとっては見たことも聞いたこともない料理ばかり。特別な絶品料理を出す「ねこや」は、「ある世界」の人たちからこう呼ばれている―「異世界食堂」。そして今週もまた、チリンチリンと鈴の音が響く。





異世界で7日に1度『ドヨウの日』に現れる扉を開けた先にある洋食屋。訪れる人間、エルフ、ドワーフ、吸血鬼、小人、リザードマン。姿や形は異なるけどおいしい食べ物をおいしいと感じる気持ちはどんな種族でも共通の感覚。誰もがおいしい食事を楽しみに来ているとあって、食堂内で争い事がおこることはまずない。たとえあったとしても、異世界人たちは自分たちが起こした争いごとによって洋食屋を出禁になることを恐れて進んで沈静化していく。洋食屋の幅広いメニューは異世界人たちを虜にした食事は種族の壁を越えた楽しいやりとりも踏まえた最高の飯テロラノベでした。

異世界人それぞれの視点で進む異世界食堂ですが、ストーリーとしての進展はとくになく、ただひたすらに異世界人たちが食堂に訪れた経緯や彼らが注文するメニューについてのエピソードが延々と続きます。しかし、異世界食堂へ繋がる扉は世界中に点在しているため店に訪れる異世界人たちは誰が来店しているか入るまで予想がつかないので、毎回違ったメンバーが店内にいることになります。
しかも彼らは相手のプライベート(身分や出身)などにある程度不干渉で、お互いに『店で注文するメニュー』で呼び合っているというのが面白い。
まるでどこぞの半額弁当争奪戦の二つ名を彷彿とさせる関係性。ページ数が進むにつれて常連客達のエピソードと注文するメニューがインプットされてきて、「あー、このメニューの人があの人であれがそれで……」といった感じに、徐々に店内の風景が思い浮かんできてきます。

常連客達は自分たちの呼称に使われるメニューについて並々ならぬ熱意があるようで、ある日突然『パンにあう食材は何か?』が勃発。激論が新たな火種を生んでいった結果、店内で食事をしていたほとんどの異世界人を巻き込んだ大論争に繋がっていったりと、本当に楽しいラノベでした。