働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

僕らはみんな逝きている

僕らはみんな逝きている (角川スニーカー文庫)
クリスマスイブの4日前/深夜。月夜見灰時は、親友の高瀬英也とチャットをしていた。クリスマスイブの3日前/鴻島晴雪は、ネット炎上がきっかけで、友人と彼女を失った。クリスマスイブの2日前/水ヶ原水鶏は、図書館で出会った少年に「呪い」の説明をした。クリスマスイブ前日/月夜見灰時は、図書館で出会った少女のことを、思い出していた。クリスマスイブ当日/空に象頭の化物が現れて一声鳴いた。―殺戮がはじまった。―群像劇×サバイバルアクション開幕!





クリスマスを境に巻き起こったサバイバルアクション。街の周囲は結界によって阻まれているため逃げ出すこともできず、象頭の怪物による無差別とも言える一方的な殺戮の光景に恐怖する街の住人たち。月夜見灰時と水ヶ原水鶏を中心に交わされるオカルトの世界のやりとりとサバイバルアクションの雰囲気がマッチしている感じがする。
もうとにかくあの象頭の存在が不気味すぎて、「象頭が人間を殺す条件」にある法則性があることはストーリーが進むにつれて明らかになるし、ちょっとメタな視点で考えれば想像がつくんだけど、
「やめろ! それ以上セリフを言うと殺されるぞ!」と心の中で叫びながら無残にも殺される人物というのがショッキングだった。

謎の象の化け物を前に恐怖に駆られてある種の錯乱状態に陥った街の人間たちのもとに届いた、とあるネットの情報。ソースが不確かな情報にも関わらず、その情報に踊らされて人間同士の殺し合いに興じる街の住人たちの光景も緊張感があってかなり怖かった。もうそれこそ、
「確かにこんな状況に出くわしたのなら納得できなくはない」恐怖が理性を上回った人間は怖いよ……