働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

飽くなき欲の秘蹟

飽くなき欲の秘蹟 (ガガガ文庫)
「異能」は超能力や秘蹟など、そんな呼ばれ方をする不思議な力だ。それは人の願いと共に現れ、いつのまにか消えていくひとときの奇跡。そう稀少なものでもないが誰もが自由に手にできるものでもない。だから持たない者は思う―自分も欲しいと。そしてそこにビジネスチャンスが生まれ、異能転売業が生まれた。主人公・世杉見識の働く秘蹟商会もそんな異能転売業社の1つである。まだまだ規模は小さいが、明日の成功を夢見て彼らは日夜奮闘しているのであった。第9回小学館ライトノベル大賞審査員賞受賞作





異能の存在が日常にひそかに溶け込んでいる世界。それは『すね毛の処理が一瞬で終わる』といった些細なものから『物体の振動を抑える』ようなものまで多岐にわたる。異能が発現する根幹にあるのは、その人間が心の底から渇望するものであり欲である。そんな人間の欲によって生まれた異能を転売することを生業にする主人公が、異能をもった人たちのもとに訪れて異能の売買契約を結んでいく、といった内容ですかね。
人間の心の底に根付いている欲に関わっていくだけあって、それにまつわるエピソードや異能を獲得したものの人間関係やら家庭内事情などといったプライベートにまで深く突っ込んでいく場面がかなりありましたね。それだけにストーリーが濃密で読み応えのある内容に思えてかなり面白かったです。これがガガガクオリティー!! ガガガ文庫らしいジャンル褒め言葉)
異能転売屋を経営するゆおさんに関してはまだ謎に包まれている部分が多くあり、個人的にもこのラノベはかなり気に入っているので、できることなら2巻も読んでみたいですね