働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

空戦魔導士候補生の教官 (8)

空戦魔導士候補生の教官 (8) (ファンタジア文庫)

《あらすじ》
“魔甲蟲”という脅威によって地上を奪われ、天空の浮遊都市に人類が住まう世界。人類は魔力をもって“魔甲蟲”に対抗するウィザード……空戦魔導士を生み出していた。狂乱に陥ったカナタが運ばれたのは“ベベル”第一人工空島地下―教皇陛下のつくりし隠れ都市だった。カナタは自身に宿る呪力の源、エミリー・ウィットベルンと邂逅を果たすのだが…それは殺し合いの幕開けだった。冷酷に響くクリスの声。「三日以内にエミリー・ウィットベルンを殺さなければ、貴方は死ぬことになります」裏切り者と落ちこぼれ少女たちの学園バトルファンタジー!

カナタの内に宿る『呪力』の行くすえを決める重大な場面なだけあって『魔力』、『呪力』、『崩力』に関して詳細を知る重要な人物からの説明パートが多く、浮遊都市に人類が住まう世界を取り巻く真相と対立する組織との激闘が繰り広げられることになり、シリーズを通して謎に包まれていた部分が徐々に明かされることになった感じですかね。

前巻は『カナタの力の暴走』で幕を閉じ、8巻では『カナタの身に宿る呪力の掌握』を目的としたストーリーであり、これまでミソラたちE601小隊の成長を指導してきたカナタ自身のレベルアップした姿が拝める内容とあって、読む前からかなりワクワクでした。さすがは『説明を省いて「ん、言わなかったか?」が口癖の主人公』なだけあって、あらすじにもあるとおり、『三日以内にカナタの呪力の源であるエミリーを倒さなければいけない』という絶望的な状況下にもかかわらず、全くいつもどおりの平常運転の余裕な表情。
『三日以内』の期限があるのにエミリーに戦いを挑むでもなく、何故か普通に日常をおくる態度を目の前にして困惑する周囲のキャラクターのオーバーリアクションが正常なんだけど、カナタの肝の据わり方は相変わらずというかなんというか。そんなカナタの行動の裏に隠された本当の意味がストーリーが進むにつれて徐々に明らかになる展開には、『このラノベは指導教官をメインにしている』ということを思い出させる見事な教官振りで、『カナタの身に宿る呪力』の結末にたどり着いたときはもう脱帽。この8巻においては、カナタがものすごいイケメンに見えてきちゃう。

ミソラたちとカナタの会合は見ることができなかったものの、困難を乗り越えて新たな力を身に着けて急成長を遂げたカナタが今後どのような活躍を見せてくれるのかが楽しみです。