働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

チート薬師の異世界旅 5

チート薬師の異世界旅 5 (ヒーロー文庫)

《あらすじ》
ヴィアシー治療のために薬の材料を求め遠出した裕次郎たち。その道中、深淵の森へ向かうハインドと遭遇し、吸血鬼の長と会えないかと頼まれ承諾する。長からキットレーゼが元気でいることを知らされ、吸血鬼をはじめとした魔物との協定を提案される。裕次郎が村に帰って話し合いをし、前向きな返答をしようと決まった直後、人間たちが姿を見せる。国からの提案はとても受け入れられるものではなかった。その上、セリエが人間に害されてしまう。これで、国側との間に決定的な溝が生まれる。人間との確執、魔物との協定。人間社会から離れた裕次郎に、さらなる事件が襲いかかるのだった。

ゴブリンとフォクシンが共存する村の設立に始まり、日を追うごとに村の規模と交易も成長していき、とうとう他のモンスターとの協定の提案にまでこぎつけることになったりなど、裕次郎の行動範囲は村からほとんど動かないながらも少しずつだけど変化が出てきてる感じですね。
国が総出で深淵の森を挟んで裕次郎に攻撃を仕掛けてきた前回の戦いも、裕次郎の薬師の力で難なく撃退に成功することができ、また平和な日々が戻ってきて、モンスターたちの村も食料の生産と防衛の強化に勤しんだりしていつも通りの日常に戻ることになってよかったです。

裕次郎サイドの物語と並行して、国側が今回のモンスターの村を襲撃した一連の行動に関して勇者サイドのメンバーたちと話し合いを行ったり国側の思惑などが水面下で進行したり、5巻全体をとおしてストーリーに大きな変化はなかったけれど、今回の騒動をきっかけに勇者サイドのメンバーが魔王討伐作戦そのものに疑問を抱きはじめて、国側の言い分に懐疑的になるなど、これまで裕次郎に理不尽をぶつけてきた国に反旗を翻すことに繋がる火種がくすぶり始めてきた感じがして、今後はどんな展開に繋がるのかワクワクしてきましたね。そもそもモンスターの住まう辺境の森に拠点を置いて人間社会から距離を置いたのも『皇室毒殺』の濡れ衣をかけられたことが全ての始まりだったはず(何巻の内容だったかは忘れたけど)。それに付随して起こった今回の一連の騒動で魔王討伐の理由をでっち上げたことがきっかけで、勇者サイドが検証を行った結果、国サイドの言い分と矛盾が生じることになったりして、「やっぱり最終的には因果応報なのかな……」なんてことを読みながら思いましたね。裕次郎と勇者の話を並行して話を進めているのもあって、まだ結果に結びついていないけれど、今回の国をあげての魔王討伐作戦の収拾がどう行きつくのか次巻に期待ですね。