働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

マンガの神様 (3)

マンガの神様 (3) (電撃文庫)

《あらすじ》
超人気アイドル夜桜と楪葉が連載移籍を賭けてマンガ勝負。今度は楪葉がスランプ!?な第3巻!!
「――私はこの手であなたをぶっ潰すつもりですので、よろしくお願いします」
アイドル兼漫画家の夜桜と天才高校生漫画家・楪葉が、雑誌の売上で勝負することに! 負けたら連載移籍だって!?
握手券にグラビア表紙と、アイドル効果で売上を伸ばそうと目論む夜桜陣営に対し、「もちろん負けるつもりはありません」と答える楪葉。僕はなんの心配もしていなかったが、なぜか自信を失っていった楪葉は、漫画をやめるなんて言い出す始末。これは天才高校生漫画家である僕の出番だな。――この勝負、勝つぞ楪葉!

売り上げ至上主義 VS 面白さ至上主義による全面対決回!! 絶大な人気をほこるアイドルとしての付加価値を武器にする東雲夜桜とマンガ業界の最前線を走る杜若王子朗のマンガの売り上げを競い合う勝負。『たとえ面白いマンガであっても手に取ってもらわなければ意味がない』この現実はどんな業界でも避けては通れない道なだけあって、常日頃から『このラノベはこんなに面白いのに売り上げ不振で打ち切りとかふざけんな!!』ぐらいに実感している身としては、フィクションの世界でも売り上げ至上主義の強さに飲み込まれるのかどうか、最後まで気が抜けない内容でした。

杜若王子朗の漫画家としてのネームバリューがあれば、たかがアイドルになんて負けるわけがない! と言いたくなるものの、アイドル東雲夜桜のコンサートの規模と年齢層にマンガの読者層がマッチしている事実をまざまざと見せつけられることになると、この勝負の行く末が段々と読めなくなってきて先の展開が気になってきてしまいますね。
普通の人が知る機会のない業界ネタがかなり多く含まれていることもあって『マンガの神様』の世界が色濃く出ていて、毎回違った方向性からストーリーが展開していくところも面白かった。第1巻が『主人公の左右田伊織が何故長編マンガを描かせてもらえないのか。その苦悩と彼の漫画の問題点』、第2巻が『左右田伊織の連載を賭けた人気アンケート対決と恋愛漫画の創作論』だったと思います。マンガ業界の裏話に対する好奇心と相まってさらに面白く感じてくるところが、このシリーズを好きになった理由でもあります。同期の電撃大賞受賞作の中でも一番のお気に入りです。

イラストを担当しているTivさんは漫画家としても活動しているようで、キャラクターの表情の豊かで服装とかの小物が綺麗に描かれていて挿絵のページをめくるのがすごく楽しみになってきますね。あとカラーイラストの特大サイズの𣜿葉と夜桜の水着イラストが最高でした!!