働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

りゅうおうのおしごと! 2

りゅうおうのおしごと! 2 ドラマCD付き限定特装版 (GA文庫)

《あらすじ》
「私はあなたを師匠だなんて呼ばないから」
竜王』九頭竜八一の前に現れた黒衣の少女は高飛車にそう言い放った。夜叉神天衣。小学4年生。弟子と同じ『あい』という名を持つJSの教育を将棋連盟会長より依頼された八一は密かに特訓を施す。だがそれが弟子にバレた時――かつてない修羅場が訪れた!
「ししょう……? だれですか? その子……?」
はじめてのライバル、はじめての修羅場、そしてはじめての家出……
幼い師弟に訪れた危機を乗り越え、二人のあいを救うことができるか!? 悲しみの雨に閉ざされた少女達の心に、若き竜王の角が虹を描く!!

小学四年生の弟子を持つ九頭竜八一のもとに続々と集結する女子小学生集団を目にした日には、ご近所さんからロリコンと称されて通報されるのもおかしくない。家事も料理もできる実家が老舗旅館の娘なだけあって立ち振る舞いも正妻然としているし、何よりも八一の周囲に漂っている女っ気を徹底的に排除しに行くスタンスが若干の闇属性を付与しているけれどそれが修羅場を生み出して最高ですね。たかが女子小学生されど女子小学生。あいちゃんが八一と他の女と一緒にいる姿を目撃したときのガチギレしたときのオーラと目力はマジで半端じゃない! 純粋無垢な女子小学生に本気で迫られる八一の滑稽な姿が周囲の人間の目には完全に犯罪者として見られる姿が滑稽に映るだけに、わかってはいるんだけどもっと修羅場って欲しくなる。

そして今回は新たに登場する夜叉紙天衣(小学四年生) VS 雛鶴あいの対戦カードの実現。同じ小学四年生なだけに同年代の明確なライバルがこれまで存在しなかったあいにとっては最高の対戦相手。棋士としての高みを目指すためにはお互いに意識をして高めあうためのライバルの存在が不可欠。
将棋連盟会長の依頼によって将棋の指導の仕事を受け持ったことがきっかけで八一と夜叉紙天衣の接点が生まれ、特訓を経て成長していく天衣の才能と技術の凄さが将棋初心者でもわかりやすく書かれていて読みやすく、なおかつ楽しめる内容で最高でした。
将棋の世界に詳しい人に通じる小ネタを所どころに混ぜつつ、たとえ将棋がわからなくても『最終的に盤上で王を詰ませる』勝利形式の戦いにおいて、いかに相手を詰ませることが難しいのかが文章だけで伝わってくるところが凄い。もちろん作中で行われている定石の戦術の数々を知っていればなおのこと面白いんじゃないかと感じる部分はあるけれど、対局全体の流れを俯瞰するだけでもどんな戦いが盤上で行われているかを十分に楽しめる作品でした。