働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

聖樹の国の禁呪使い 5

聖樹の国の禁呪使い 5 (オーバーラップ文庫)

《あらすじ》
―セシリー・アークライトを殺す。四凶災の一人、ベシュガムを倒したクロヒコは、死の間際にベシュガムの口から出た本当の目的に驚愕する。そしてセシリーの側近であるジークとヒルギスもまた、四凶災と遭遇してしまう。自らが仕える主・セシリーのため、二人は絶望的な戦いに挑むが、驚異的な実力を持つ四凶災には敵わず―。窮地のなか二人の前に現れたのは、着流し姿の底知れぬ笑みを持つ第6院の男・ヒビガミだった。クロヒコとの再戦を誓った男は果たして敵か味方か…!?「カカカッ。さあ―仕合おうか」

四凶災のひとり、ベシュガムとの戦いで死闘を繰り広げることになって満身創痍のクロヒコがセシリー・アークライトをどうやって救出することになるのか、その先行きがきになってくる緊迫した内容でした。
四凶災を目の前にして正規の騎士団が壊滅的な状況に陥っているなかで、四凶災と互角に渡り合えるであろうメンバーがほぼほぼセシリーの周囲に存在しないうえに、セシリー本人の戦力も四凶災に勝てるかどうかがわからないゆえに、この絶望的な状況をどうやって打開するのか楽しみでした。キュリエは国外に赴いて不在だし、クロヒコは禁呪の力があっても物理的距離を一挙に縮める手立てはないなかで、敵か味方かも不明で強者との戦いを望むスタンスのヒビガミがどこで登場するのかが大きかったです。
ここで王道ならヒビガミと四凶災の戦いを引き延ばしてその激闘を楽しむのが鉄板だと思ったのだけど、以外にもヒビガミのほうが強すぎて終始優勢のまま終わりを迎えることになったのが予想外でした。

あくまでもサガラクロヒコのもつ禁呪の最終形態をメインに話を進めるだけに、四凶災ですらその引き立て役に使われる展開に話が進むのには意表を突かれました。それだけに、ヒビガミとクロヒコの再戦を築き上げるための根幹ともいえる『サガラクロヒコの強さ』の部分が各方面からアプローチが仕掛けられていて面白かったです。戦闘狂のヒビガミによるクロヒコという人間についての異質さにまつわる説明も、今後のストーリーを大きく揺るがす火種を残している感じがして気になるところです。