働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

呪術法律家ミカヤ

呪術法律家ミカヤ (ダッシュエックス文庫)

《あらすじ》
十七歳で呪術法律家の資格を取った天才少女ミカヤ。そんな彼女の初仕事は史上最悪の暗殺者、アイスフェルドの弁護だった。絶対に精霊呪術を通さない“精霊殺しの箱”。その密室の中で死んでいた人権活動家サラサンテ。彼を殺した容疑で捕まったアイスフェルドだが、ミカヤには冤罪を主張するのだった。初めは半信半疑のミカヤだったが、調査を進める内に暗躍する巨大組織の存在が明らかとなり事態は思わぬ方向へと進む。そして、法律家と暗殺者という相容れない二人は国中を揺るがすある真実へと辿り着くのだった…。かくして迎える大陸史上最大の法廷劇。アイスフェルドへの判決が下される時が来る―!!

第2回集英社ライトノベル新人賞特別賞受賞作
ファンタジー世界で法を扱う作品はこれまでに読んだことがなかっただけに、ファンタジーならではの証拠品の出現や舌戦を有利に運ぶための駆け引きが新鮮で面白かったです。絶対に精霊呪術を通さない《精霊殺しの箱》で殺されたひとりの人間をきっかけに、その殺人方法にはじまり、《精霊殺しの箱》の仕組みや抜け道がないか、どのような人間ならば殺人が可能か。ひとつひとつを丁寧に解明していき、その証拠を起点にして事件の真相に近づいていくときの高揚感とラストに犯人を暴き出した時の裁判の展開は鳥肌が立つくらいの熱い論述合戦でした。
とにかく隠された真実にたどり着いたときの「そういうことだったのか!」と気づかされたときの感覚と、ファンタジーならではの仕掛けが凄く面白かったです。
事件の真実に立ち向かう呪術法律家の天才少女ミカヤと史上最悪の暗殺者アイスフェルドのお互いの立場を忘れてしまいそうな軽いやりとりも良かったけど、ミカヤが事件の真実を掴み取るためにとるあの行動力の高さと「終わりよければ全てよし」「若さゆえの無鉄砲」という言葉が似合いそうな無茶苦茶なキャラ。危険な世界に乗り込んでいる緊張感がたまらない。