働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

この旅の果ては、約束と救済と嘘の場所

この旅の果ては、約束と救済と嘘の場所<この旅の果ては、約束と救済と嘘の場所> (富士見ファンタジア文庫)

《あらすじ》
「凍りつく灼熱の砂漠」「自分の影が勝手に動き回る国」「決して消えない炎に包まれた男」―物理法則からも魔術の法則からも外れた現象「逆理」が各地で発生し混乱に満ちた世界。元盗賊のグレイヴは記憶喪失の少女ミステルと共に、彼女の故郷を探す旅をしていた。そんな二人の前に現れた魔術師のディア。彼女は世界を脅かす逆理を収めようと考え、ミステルの秘められた魔力を求めたのだ。危険を伴う申し出にミステルは「いいよ!逆理って見てるとざわざわするんだ」と記憶に関わりそうな事を言いだし!?世界中の不可思議と死地を巡る、ワンダリング・バトルファンタジー開幕!

世界の法則を覆す“逆理”による混乱に満ちた世界。グレイヴたちの『逆理を収め、世界をあるべき形に戻す』旅のはてに待ち受ける運命を知ったとき、どのような選択肢でもってこの運命を迎え入れるのか、この作品を最後まで見届けたくなる思いに駆られる。

世界の各地で発生する逆理を収める旅で立ち寄ることになる街や村の状況や、その地で暮らす住人たちが抱く悩みがかなり多彩で、『定期的に山のくしゃみ(咳かも?)によって飛来する岩石に悩まされる街は、それ相応の頑丈なバリケードに身を潜めることで日々を過ごしている』ことだったり、『影のない世界では、街の住人たちが仮面を付けて過ごしている』ことだったり、世界の各地を回るたびにガラッと景色が変わるので、1巻という短いスパンで多くの刺激を受ける。

かつて魔術師としての地位を築いてきた人間たちが世界の法則を覆す逆理によって魔力のほとんどを失い、逆理によって新たな力に目覚めた人間たちによって支配された世界が形成されようとしている現状。逆理の力を是とする人間たちとグレイヴたちの旅の目的が相反していることから、ふたつの勢力の衝突が避けられない状況を生み出し、今後の展開に新たな展開をもたらす予兆も見せていて、次巻意向がますます面白いことになってきそう。

前作の『災厄戦線のオーバーロード』はバトルファンタジーでバトルにかなりの比重をおいていて、自分だけのオンリーワンな能力を絶妙に使いこなして繰り広げるバトルが熱いのでそちらもおすすめです。

災厄戦線のオーバーロード (3) (富士見ファンタジア文庫)

災厄戦線のオーバーロード (3) (富士見ファンタジア文庫)