働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

棘道の英獣譚

棘道の英獣譚 (ダッシュエックス文庫)

《あらすじ》
第3回集英社ライトノベル新人賞 特別賞受賞作品! 仲間に見捨てられ、森で意識を取り戻したライザー・ゲフォンを待っていたのは、樹木と化した右腕だった。世界を飲み込まんと拡大する自然異産《棘の森》は、あらゆるものを黒い樹木に変えていく。漆黒と絶望の樹下、木漏れ日の中で出会った《眠りの魔女》に命を救われ、襲いくる獣との闘い方を教わるライザー。次第に彼は、人間離れした能力に目覚めていった。そして、《森の主たる竜》と《眠りの魔女》の時代を越えた因果を知ったとき、彼は結末へと向かい、立ち上がる。 愛する少女と世界の命運を背負い、戦う、小さな獣の英雄譚――。

世界をむしばむ《棘の森》とそこに潜む獣の脅威にさらされる人類、それに抗うため《棘の森》に立ち向かう人間たちの対立の構図が明確かつ神秘的に作中でも描かれていて、表紙のイラストの雰囲気との相性も抜群。
《棘の森》との奮闘を描くうえでカギとなる二人のイラストも全体的に自然な色合いに溶け込んでいて、かなり表紙力が高い作品なので買いましたが、内容も自分の好みにわりとあっていてとても面白かったです。

新人賞作品としても、王道の世界観を土台に登場キャラクターたちの間にある関係性も手堅く奇をてらったものがなかったけれど、高い水準で王道の物語を楽しめる作品になっていました。
物語の軸に『世界を飲み込まんと拡大する《棘の森》』があるだけに、森の中で出会った謎の少女と主人公の関係性が物語の核心に迫ったときの壮大なスケールで送り出す大激闘は胸が熱くなる展開でした。
イラストレーターがえいひさんであることも思いっきりバイアスがかかっているけれど、非常に僕好みにはまる作品で面白かったです。