働きたくない村人のラノベ日記

ブログ開設2014年5月30日

ひきこもり姫を歌わせたいっ!

ひきこもり姫を歌わせたいっ! (ガガガ文庫)

《あらすじ》
超絶歌下手男子・蒼山礼人。ロックバンドの甲子園での優勝を目指す彼が出会ったのは、魔法の歌声を持つ『ひきこもり姫』・灯坂遙奈だった。過去のトラウマから周囲との交流を避ける彼女に、礼人は諦めずに声をかけ続ける。「灯坂が歌ってくれたら、絶対すげぇライブができる」「…本気で言ってますか?」「本気も本気だけど―俺はさ、人間はなりたいものになれるって思うんだ」。第11回小学館ライトノベル大賞でガガガ賞を受賞!何者でもない少年少女たちが叫ぶ、不器用だけどまっすぐな青春ロックバンドストーリー開演!!第11回小学館ライトノベル大賞ガガガ賞受賞作

天性の才能を持つ人間だけが到達でき、凡人の努力だけでは決してたどり着けない世界。音楽に青春の全てを捧げる主人公の礼人と魔法の歌声を持つ遥奈の出会うことで、彼らの人生が大きく変わることになる青春ロックバンドストーリー。

“超絶歌下手男子”のレッテルを貼られても、“(歌が下手すぎて)ライブハウスで出禁をくらう”ことになろうとも臆することなく音楽活動に励む主人公のポジティブな性格が、“音楽バカ”であり音楽を愛してやまなず自分が好きなことに関してはストイックに取り組むキャラクターを形作っている。音楽に関連するトークや(素人から見て)マニアックな知識も披露され、それを文章として表現することで、『音楽』『学生』という属性を創り上げていき、物語の世界を固めていっているイメージでした。そこから、この作品だけがもつオリジナリティのようなものを冒頭から実感でき、続きを読み進めたくなるきっかけにも繋がりました。

歌が下手なことがネックで、自ら作詞作曲した作品も聴くに堪えないものになり真っ当な評価を受けることすらかなわない主人公が、天性の魔法の歌声をもつ遥奈との運命的な出会いがきっかけで、礼人の音楽が多くの人たちの目に届くことになる。そして、音楽を評価されることで徐々に浮き彫りになってくる“才能”の壁。そんな“才能”がものをいう世界の光と影、そしてその事実に苦悩する礼人の日々が強烈に描かれていて、読む人の心をグッと締め付けてくる。

新人賞作品としては、今年のデビュー作のなかでもかなり良作の部類だと思うので、作者の今後の活躍に期待です。