働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 5

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 5 (GA文庫)

《あらすじ》
エルム共和国を成立させ、通貨の発行によってその基盤を確かなものとした超人高校生たち。だが、異世界の人々に国を委譲するための選挙を始めようとした矢先、亡国“ヤマト”の皇女カグヤが現れた。エルムの基本理念『万民平等』をタテに、帝国に苦しめられている自分たちへの援助を求めてきたのだ。司は旧ヤマト領の扱いについて帝国への介入を始めようとするが―「俺はその方針には反対だ」勝人が地球への帰還を優先するため、帝国元帥ネウロとの敵対を避けるべきだと言い出し、超人高校生たちの間に不協和音が流れ始める!激動の異世界革命物語第5弾!!

才気あふれるがゆえに想定しうる未来に生じる可能性を考慮し、自分たちの最終目標である『日本への帰還』と異世界の『万民平等の価値観』を天秤にかけるまでの思慮深さにつながる。政治家としての手腕でこれまで集団の指揮を執ってきた超人高校生の司、そして、実業家として活躍していた勝人の意見の決定的な食い違いがとうとう生じてしまい、物語の大きな岐路に立ってきたという感じでした。

これまでのシリーズを通してみても、率先して行動の方針を建て、強敵たちが死に際に司に放った意味深な発言の数々が、司を中心に物語が動く雰囲気を演出していて、“この作品の主人公”という印象が強かった。しかし、『万民平等』と『民主主義の概念』を世間に広めるにあたって大きく貢献してきた勝人の存在や、それを陰で支える多くの超人高校生の活躍を見ていると、それぞれのメンバーだけで主人公を名乗れるくらいに存在感を放っていると思うことがある。

その最たる例が実業家の超人高校生である勝人なのだけど、キャラクターのひとりひとりの存在感が埋もれることなく、バランスよく物語に絡めてナチュラルに印象付けているところもあって、超人高校生たちの個性を十全に活かした作品だと感じられました。

『落第騎士シリーズの作者』のネームバリューだけでも安心の作者買いができる満足度。司と勝人の二人が別々に行動することで、今後どのような展開になるのか。『日本への帰還方法』に目処がついたなかで、異世界の常識を大きくゆがめてきた超人高校生たちはどんな結末を導いてくれるのか。大きな岐路に立たされたなかでこの先どうなるのかが、一人のファンとしてこの上なく楽しみです。