働きたくない村人のラノベ日記

ブログ開設2014年5月30日

あのねこのまちあのねこのまち 壱

あのねこのまちあのねこのまち 壱 (講談社ラノベ文庫)

《あらすじ》
駅では電車が素通りし、地図にあるのにたどり着けない町、夕霧町。びっしりと生えた大根が道を塞ぎ、地蔵が抜け道を教えてくれるこの町には、一匹の猫がいた―。ポルターガイスト現象に悩む高校生・墨染幸一は、たまたま夕霧駅に降り立ち、相談屋を営む少女・フミと出会う。彼女の店にはいつもフシギな相談が。影が消えたり、角が生えたり…。「私は何でも解決出来るからね」と笑うフミに振り回され、幸一もおかしな町を駆け回る!ヒトもアヤカシも恋も呪いもハッピーエンドにするために!!しかし、やがて幸一は知る。のんきに茶をすする彼女の、あくびに隠れた哀しい祈りを―。とっても愉快でちょっぴり切ない、脱力系お悩み解決ファンタジー!
第6回講談社ラノベチャレンジカップ《大賞》受賞作品

人間の暮らす世界に寄り添うよう妖たちの存在。平凡な日常の光景からちょっとした不思議な出来事に潜む妖の存在を嗅ぎつけては、原因の究明と解決に駆け回る相談屋の少女で猫又のフミと人間の少年である幸一のほっこりしたやりとりに脱力感が漂う日常系ファンタジー。

妖=人間に害を為す存在、この固定概念からぶっ壊していくことで、“夕霧町”をはじめとした妖たちが暮らす世界にたどり着くために必要なオカルト染みた手順や、猫又のフミを通じて交流を深めていく他の妖たちの存在を受け入れるにあたり、『あのねこのまちあのねこのまち』の持つ世界観になぞらえた価値観で認識することができた。
もっとも、『外見が人型で猫又なだけに猫耳美少女じゃないか!?』という認識が先行して、メインヒロインの持つ強力無比な属性。その後に登場するイラスト付きの妖キャラクターたちがこぞって人型だったために比較的に受け入れやすい内容でした。

人間と妖の住む世界の境界線を越えることも、比較的に容易であること。フミが幸一の自宅を訪れて幸一の悩み相談を解決する光景や、幸一がフミ以外の妖が暮らす世界に足を踏み入れる流れによって、その先の物語の流れを作るうえでの足掛かりにもなり、なおかつ人間と妖の暮らす世界の間にある近くて遠い不思議な距離感が幻想的でよかったです。

講談社ラノベチャレンジカップの大賞の座にふさわしい良作で、最後までライトノベルとして味わうにふさわしい結末だったことは宣言しておきたいと思います。