働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

キミもまた、偽恋(オタク)だとしても。1〈下〉

キミもまた、偽恋(オタク)だとしても。1〈下〉 (オーバーラップ文庫)

《あらすじ》
隠れオタク」として高校デビューを果たした村上政樹は、「隠れ腐女子」の長島薫子と「偽装恋人」関係を続けていた。二人とも相手が実はオタクであることを知らぬまま。自分がオタクであることをバラさないよう、慎重に。そんな状況ではあったが、デートの約束も取り付け順調に恋人としてのイベントを積み重ねる二人。だが、二人が本当に楽しみにしていたイベントは別にあった。それこそがオタクの祭典、同人誌即売会!オタクの血が騒ぎ、理性を失う空間。そこで二人は同時に居合わせてしまい…。そして、同人誌即売会後に初デート当日を迎えることに!?政樹と薫子の「偽装恋人」関係と彼らの「秘密」の行方は!?

隠れオタク』の男子高校生と『隠れ腐女子』のお嬢様の偽装恋人関係が、隠そうとすればするほど限りなくゼロ距離の平行線をさまよっていて、「いい加減にお互いに気づけよもどかしいな!」と外野から背中を押したくなるオタク同士の青春ストーリー。

地方住まいの隠れオタクなだけに、『地元でオタクグッズを購入するところを知り合いに見られるリスクを犯すくらいなら遠方にまで足を運ぼう』『コミケの期間は何故かお互いに都合よくスケジュールが合わなくて、恋人同士でデートをするよりもコミケ優先』。同じようなスケジュールで動く二人の行動をあえて両者の視点で描くことで、『奇跡的にお互いの存在がバレない距離感』が強調されていて、かつお互いがオタクであることを正直に認め合えば両想いのままストレートにゴールインだろうに! というもどかしさのダブルパンチに襲われて、読んでるこっちもドキドキしちゃいます。

二人の青春模様を描いた恋愛ストーリーとして括るには、山場を明確に実感できるエピソードが薄い印象。しかし、ひょんな誤解が二人の偽装恋人関係をより強固で面倒くさいものに変えているこの物語においては、コント半分恋愛半分の案配で楽しめる面白い作品であることは断言できる。