働きたくない村人のラノベ日記

ブログ開設2014年5月30日

放課後は、異世界喫茶でコーヒーを

放課後は、異世界喫茶でコーヒーを (ファンタジア文庫)

《あらすじ》
魔法の息吹がかかったアイテムや食物が産出される『迷宮』。これを中心に栄える迷宮都市の外れに佇む一軒の喫茶店では、この異世界で唯一コーヒーが飲める。現代からやってきた高校生店主ユウが切り盛りするこの店には、コーヒーの芳しい香りにつられて、今日も喫茶店グルメを求めるエルフやドワーフ、冒険者たち、そして街の有力者までもが“常連”として足を運ぶ。近所にある魔術学院に通う少女リナリアもそのひとり。まだ、コーヒーは甘くしないと飲めないけど、ユウがいるこの店の雰囲気がお気に入り。でも、ライバルの女の子たちは他にもいて?恋のスパイスが効いたおいしい物語を異世界喫茶からお届け。

喫茶店に訪れる異世界の客を相手にもてなすなかで築かれる人間関係の広がり。“コーヒー”の嗜み方が広まっていない異世界で、『奇妙な黒くて苦い液体』『眠気覚まし』程度の認識でしかない飲み物を注文して、個人個人の気に入った味わい方で喫茶店での時間を過ごす光景が、落ち着いた店内の雰囲気と調和していて味わい深い作品でした。

オーソドックスな異世界ものによくあるネタも一切含まれておらず、『異世界×喫茶店』をコンセプトにしたときのオリジナリティにあふれる物語の世界と作者のこだわりが一心に詰まっていて、読んだ人間の心を鷲摑みにする魅力がある傑作。
喫茶店の店主を務める主人公が異世界に居ることをことを強く想起させるワードは極力抑えられていて、訪れる客層をありのままに受け入れていることもあり、日本から遠く離れた異国の地で開いている喫茶店の認識が強い。そして、喫茶店に訪れる客との何気ない会話のやり取りに10代の店の店主らしい青春チックな要素も含まれていて、とてもほっこりする。

もともとがカクヨムに掲載されていたWeb小説らしいけれど、誇張を抜きにしても自分がこれまで読んできたカクヨム系作品のなかでは屈指の面白さでナンバーワンと言っても過言ではないくらいお気に入りの作品なので、まだ読んでいない人には是非おすすめしたい傑作です。