働きたくない村人のラノベ日記

ブログ開設2014年5月30日

タイムシフト 君と見た海、君がいた空

タイムシフト 君と見た海、君がいた空 (ダッシュエックス文庫)

《あらすじ》
始まりは、あの夏休みの最終日。道に迷っていた七尾レキは、民家の庭木によじ登り、猫を助けようとしていた変な少女、八神リノと出会った。のんびり屋のレキ。天真爛漫で、ちょっと寝坊助さんで、手のかかる妹のようなリノ。偶然にも同じ家で居候することになった二人。親友のユウキとアザミも仲間に加わり、商店街に遊びに行ったり、季節外れの海水浴も楽しんで。そんな日々を重ね、そして二人は、ごくごく自然に恋に落ちた。だけど、この世界は大きな“不具合”を抱えていて―それは遙か遠く、ある世界の片隅で紡がれた、甘く切ないボーイミーツガール。

売り上げ次第でこの切ないボーイミーツガール作品の続編が読めるのであれば、一見の価値がある良作であり、是非とも未読のラノベ好きの方々におすすめしたい。

主人公の七尾レキとヒロインの八神リノの運命的な出会いから幕を開け、自然な流れで恋に落ち、徐々に関係が深まっていくまでは順調に進んでいきます。しかし、この作品の肝となる“カムナギ”という厄介な異能を抱えた人間たちに科せられた体質。恋人同士が行う肉体的接触がきっかけとなり、相手にカムナギの体質が感染する世界。ある“カムナギ”を抱えた友人は、何の脈絡もなく神隠しにあって年単位で消息不明になり、神隠しの間は一切老いることはなかったり、主人公のレキに至っては他人の記憶が流れ込んできて自分の記憶と混濁を起こして人人格が入り乱れる始末。世間的には“カムナギ”は煙たがられる存在であり、彼ら自身も厳しい現状で必死に生きているのが現状。

そのなかで、主人公の七尾レキと八神リノの二人の“カムナギ”が恋に落ちる流れを切なく描き、ラブコメ的な演出も適度に織り交ぜてエッチなトラブル(具体的にはレキの部屋に入ったリノがエロ漫画に興味津々にしている光景を本人の目の前でやらかしたり)を起こすことで、衝動的に既成事実を成立させようとしたり。
ちょっとシリアス気味なボーイミーツガール作品のなかにあるポップなラブコメ展開が究極の癒しです。
ついでに言うと、『恋人同士がやる肉体的接触(重要)』が何を意味するのか。性的描写は事後のヒロインの感想に済ませ、残りは読者の創造におまかせするスタンスにならざるをえないのは仕方のないことなのはわかるけれど、許容できる範囲でどんな行為をしたのかをこの目に焼き付けたかった(ゲス顔)

レキとリノの恋の行方の一部始終を語ると、“カムナギ”という不思議な異能の真実や、それがきっかけで大きく捻じ曲げられることになった二人の恋について自分が死ぬほど身を引き裂かれそうになった展開についてネタバレになるから言及は避けるけれど、なかなかに素晴らしいライトノベルを引き当てたので、まだ読んでいない人にはオススメしたいなと思える作品だということは言えます。

あとはダッシュエックス文庫があんな結末を用意したのだから、続巻を書く流れであることを信じて、なおかつ無事に話題も広がって売り上げも伸びることに期待していきたいと思います。