働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!6

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!6 (GA文庫)

《あらすじ》
「きゅっ!? 求愛、ですか!?」
帝国統治下のヤマト自治領に調査のため乗り込んだ司たちは、住民の幸せそうな様子に驚かされる。しかも監査官ジェイドと自治領主マヨイの歓待の最中、リルルと林檎に司への告白チャンス到来!?
どこまでも平穏なヤマトでの外遊。しかし、その裏に潜む暗い情念はヤマト全土に確実に影を落としていた。一方エルム共和国では総選挙が開始。ヤマト自治領に対する方針を巡り、テトラ率いる≪原則派≫とユーノ率いる≪改革派≫が繰り広げる選挙戦は必要以上に過熱し、留守を預かるゴッド暁に困難な選択を迫ることに!異世界革命物語第6弾!!

超人高校生たちが異世界に新たな風を吹き込む。エルム共和国で史上初となる総選挙の開催。ヤマト自治領に対する方針を軸に『原則派』と『改革派』で二分され、多くの国民を前にした公開討論を経て激しい議論が交わされる。
今回の最大の山場であり見せ場でもある公開討論。今後の国家の行く末を担う総選挙とあって討論のなかでのやりとりが聴衆にわかりやすい言い回しになっており、現実的な道筋を見据えた将来のエルム共和国の姿を各派閥でしっかりと組み立てられていてわかりやすかった。『原則派』と『改革派』のどちらが勝ったか負けたかといった結果だけではなく、討論の内容や最終的な国民投票等を含めて細かいところで各陣営の思惑と策略を張り巡らせることで、より深みのある展開を楽しませてくれるところが素晴らしい。

『原則派』と『改革派』の掲げる公約がいかに国民に受け入れられるか。表面的な部分で言えば“正しいものが勝つ”正しい世の中だが、世論や空気の流れを操る技術に優れた者、莫大な資金力で宣伝を行う者。いまなお、腐敗した貴族がはびこる異世界で、正義と悪が衝突したとき、悪が巧みに絡めてを駆使したときの憤り。海空りく作品は、悪にあたる人間たちが愉悦に浸るときは、徹底的に正義を屈服させにかかるので、読み手の感情を激しく揺さぶりにかかってくる。
もうダメなのか、正義が勝つ可能性はないのか……。そこまで痛めつけておいて、ラストは綺麗に悪をさばいてくれる。そんな勧善懲悪な側面もあるので、定番の異世界召喚ファンタジー作品でもとても気に入っている作品です。随所に海空りくらしさがあって最高でした。
次巻も楽しみにしてます