働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 3

キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 3 (富士見ファンタジア文庫)

《あらすじ》
皇庁潜入という特務に、隊長の魔女化。問題が山積する中、互いに望まぬアクシデントから、イスカはアリスリーゼに皇庁の監獄都市へ連行されることになってしまう。「キミの本音を知りたいだけ」「僕からも大事な話がある」イスカを逃がさぬよう自身と手錠で繋ぐアリス。密着状態で少女の素顔を垣間見るイスカ。しかし二人の時間は、打ち砕かれる。皇庁最凶の大罪人、『超越の魔人』の脱獄によって。時を同じく、特務と部下奪還のため監獄へ潜入したミスミスも決意を固めていた。「できるよ、今のアタシは魔女だもん」陰謀の火薬庫と化した監獄都市を舞台に、戦線は激化する!

イスカとの再会を心の底から願うアリスの想いがあふれていて、“ネビュリス王女”や“氷禍の魔女”の肩書も忘れて完全に恋する女の子。
国を思い自らの責務を果たすために日々を送る姿は従者を従え凛とした態度をとるにふさわしい活躍を見せる一方で、イスカに関わる物事においてはキャラクターが切り替わっていく。まだまだ経験浅はかなアリスがイスカに対して手探りの状態で言葉を交わしていく姿や、彼の一挙手一投足に心を揺さぶられている姿が、厳然かつ殺伐としたファンタジー世界に最高の清涼剤として作用してく(イスカとアリスの関係をラブコメと称していいのかがわからない)。

イスカとアリスがお互いの立場を捨て、平和な日常に身をゆだねる未来が来るとすれば、それは二人の物語が終結に向かうときだけだろうと考えると、『最後まで読んでみたい(打ち切りがなければ)』に繋がる動機付けにもなる。
もっとも、今回のアリスが監獄都市にイスカを連行して一緒にホテルで過ごした件だけでも極上のラブコメ劇を見せてくれたので、さらにもう一段階上のステージにあがったら何が起きるのか想像もできないけど、お互いに幸せな未来になることは間違いない。
読めば読むほど、どんなタイミングでもいいのでイスカとアリスの二人には時間を供する機会ができてほしい。その先にどんな困難な壁が立ちはだかっていようとも、今回の一連の騒動を踏まえても二人が一緒なら活路を見出せそう。
剣と魔法が交錯するファンタジーバトル、イスカとアリスの二人のやり取りのどちらも文句なしのクオリティーで、さすがはこのラノで多くのファンに支持されるだけのことはありますね。続きが楽しみで新刊が待ち遠しいです