働きたくない村人のラノベ日記

ブログ開設2014年5月30日

オタビッチ綾崎さんは好きって言いたい

オタビッチ綾崎さんは好きって言いたい (ファンタジア文庫)

《あらすじ》
世の中にはどうしても相容れない奴がいる。たとえばあいつ、綾崎絵麻だ。クラスの中心、メイクはばっちり、いわゆるギャルという人種。…なのになぜ!「あたしは、ミカサちゃんが『ひゃうぅ』ってなるところを描きたいわけ」そんな奴と同人誌なんか作ってるんだ!?綾崎が隠れオタであることを知った俺は、イベントデビューに協力することに!「手始めにまず、あたしを襲って」俺は二次専門だから…「男に下着を選んでもらうとか、初めてだったんだからね!?」俺はデートする初めてだよ。「幼馴染ちゃんのパンツを覗いてきて。表紙にするから」他人を巻き込むな!オタクとギャルの創作青春ラブコメ!第31回ファンタジア大賞銀賞受賞作品。

自称“二次元しか愛せない”小島新太とリア充ギャルでイラストレーターの綾崎絵麻の二人による、ファンとクリエイターかつ崇めるものと崇められるものの距離感がツボる創作青春ラブコメでした。
イラストレーターが目の前で描き上げた作品を提供する代わりに、『同級生の女の子と下着売り場で買い物(デート)』『幼馴染みの宮瀬沙弥が赤面してパンツを見せる写真を撮らせてほしい』という世にも奇妙で即通報案件の代償を要求されるのは創作活動として成立するのか? という疑問もあるけれど、青春ラブコメらしく突拍子もない展開が面白かったです。
偶然の出会いが生んだ協力関係ではあるものの、過去を掘り下げていくとイラスト投稿サイトで『はじめて投稿したイラストレーター』と『はじめての頃から熱心だったファン』だったという繋がりもあるとか。

ネット越しで主人公が絵麻に『Tシャツにイラストを使用する許可を申し出』をし、学校で痛Tシャツを着ている姿を目にしてリアル割れする。イラストレーターにとってファンから喜ばれることが何よりの創作活動の糧になっていそうですし、ネットとリアルの両面からイラストレーターの喜びを表現されていて新鮮な光景でした。もっとも、まだ高校生でもありアマチュアでしかない絵麻ですが、クリエイターならではのスランプや壁にぶち当たり苦悩する場面もあったり、学生生活との兼ね合いや主人公との協力関係も亀裂が生じる展開などがあり、イラストレーター活動を存続する危機的状況にまで陥っていて緊迫感がある内容でした。新人賞作品としてはとても綺麗に書かれている作品でした。

しかし、個人的には主人公が『二次元専門』となった過去のトラウマを回想するシーンのインパクトがイマイチ弱く、二次元専門を自称して強引に三次元の恋愛を拒否するスタンスはしっくりこなかった。未成年の多感な時期やクラス内ヒエラルキースクールカースト、オタクを排斥する空気が総じて生み出した主人公がオタクがゆえに巻き起こった過去のトラウマはもっとエグイ内容でもよかったと思いました。