働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

ロクでなし魔術講師と禁忌教典14

ロクでなし魔術講師と禁忌教典14 (ファンタジア文庫)

《あらすじ》
リィエルの一件を乗り込え、ようやく訪れた平穏。女王陛下の尽力により数十年ぶりに開催されることになった魔術祭典に、アルザーノ帝国魔術学院、聖リリィ魔術女学院、クライトス魔術学院―アルザーノ帝国の各地から有力生徒たちが結集する。「世界の大舞台で魔術の腕を競い合ったお祖父様が見たという光景を、この眼で見たいんです!」その中には、もちろんシスティーナの姿もあり―。帝国代表の覇を競う中、因縁の少女・エレン=クライトスと再会することになるのだが…。選抜会に潜む卑劣な陰謀、そして失われゆく自分たちの未来を解放するため、システィーナは天高く飛翔する!

シリーズ最高に熱く、感動で泣ける物語!
魔術学院で講師と生徒の関係から始まったグレンとシスティーナの関係は、数々の困難な局面と強大な魔術師たちとの死線を潜り抜けてきた壮絶な半生であったけれど、いつしか距離が縮まり背中を預けられるパートナーのような存在に感じられる。システィーナの魔術師としての才能もグレンの教鞭や特務分室のアルベルト、イヴたちとの出会いもあり、さらに才能を開花させ技術に磨きがかかった姿には目覚ましいものがありました。
そんなシスティーナの成長と、彼女のグレンを想う気持ちが一心に伝わるきっかけとなったのが、エレン=クライトスとの再会と選抜会に渦巻く陰謀、そして抜け出すことのできない無限ループ地獄。
神々の力がもたらす無限ループの力は絶大であり、術者の意志を妨げる行動の全てを破壊する力を前に敗れ、エレンの願いを叶えるために永遠に繰り返される選抜会。
袋小路に陥り絶望の淵に立たされるなかで無限ループを繰り返すグレンの精神が摩耗していく壮絶な心境と、出口の見えない状況を印象付ける絶望感が強烈に伝わってきてとても感情が揺さぶられました。そんななか、幾百幾千の選抜会を繰り返していき徐々に消耗していくグレンを目の当たりにして、システィーナの中にあるグレンに対する信頼が無限に続く選抜会に終止符を打つきっかけになったときは最高に熱かったです。
この14巻にはシスティーナのグレンに対する信頼と献身、そしてシスティーナという相棒の素晴らしさの全てが詰まっていました。