働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

公女殿下の家庭教師3 魔法革命で迷える聖女を導きます

公女殿下の家庭教師3 魔法革命で迷える聖女を導きます (富士見ファンタジア文庫)

《あらすじ》
王立学校に入学して3ヶ月。アレンは、家庭教師業の傍ら、ハワード・リンスター両公爵家による合同商社立ち上げの責任者という大役を任されることに。公女殿下ティナたちもまた前期試験を控え、慌ただしい日々を過ごしていた。そんな中、ハワード家の次期公爵であり、王立学校の生徒会長でもあるステラは、妹であるティナたちの急成長を目の当たりにしたことで、すっかり自信を失ってしまい―!?「…兄さん!ステラが…いなくなったんです」無自覚規格外な教師が、迷える少女の歩む道に灯りを点し、その手を導く魔法革命ファンタジー!

ティナ、エリー、リィネの3人の教え子たちが家庭教師のアレンにべったりな姿と年相応の恋愛感情で修羅場を繰り広げる可愛らしさ、同世代のリディヤがアレンにだけ心を許して積極的に愛情表現をする深い関係性を築きあげている設定が化学反応を起こして、4人の間でバチバチの争奪戦が展開されるところがとても好みの作品でした。
これまでは主要な登場人物の数が比較的に少なかったこともあり、テンポの早い掛け合いが行われていても状況が的確かつ速やかに読み取れて楽しむことができました。しかし、徐々に妹のカレンを始め、ハワード・リンスター両家のメイドやカレンとステラの親友のフェリシアがアレンの日常に深く関わる機会も増えてきたことで、これまでどおりの表現ではキャラクター同士の掛け合いを十分に楽しむ余裕がなくなってきているように感じられました。
カレンもフェリシアもアンナもアレンに向ける好意的な感情の臭わせ方や親交の深い間柄での何気ない冗談やじゃれ合いが気持ちよくて好きではあります。

ハワード家の次期公女であり、王立学校の生徒会長でもあるステラが、妹であるティナや親友のフェリシアの急成長と自分にはない才覚を目の当たりにしたことで自信を消失して仄暗い感情をいだく姿には、思春期の心の不安定さと生来の真面目さがもたらした弊害であることが伺えました。そんなステラが自分の歩むべき道に迷うところにアレンが手を差し伸べ、ひとつの道しるべを指し示す優しさは心温まる展開でした。

kakuyomu.jp