働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

撃ち抜かれた戦場は、そこで消えていろIII ―弾丸魔法とゴースト・プログラム―

撃ち抜かれた戦場は、そこで消えていろIII ―弾丸魔法とゴースト・プログラム― (ファンタジア文庫)

《あらすじ》
再編成された世界は、西の第二世代エクセリアが猛威を振るう凄惨な戦場へと変わり果てていた。レインたちは戸惑いながらも、亡霊の鍵を握る者“カイセイ”の手掛かりを調べ始める。一方、レインの親友アスリーもまた、偶然“悪魔の弾丸”を使用して以来、一人思い悩んでいた。消滅した人物、度重なる世界の変動、異変はどこか大切な人と繋がっているようで―。やがて彼女は、亡霊エアに問う。「あなたは―レインと何をしているの」悪魔の秘密に近づいた少女が、下した決断とは―。兵士たちの運命が動き出す、SFミリタリックファンタジー、転換点。

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アスリーが“悪魔の弾丸”の力を使用したことにより世界の変動を認識できるようになり、レインとエアの秘密に近づくことになる……

これまではレインとエアのコンビによる亡霊たちとの激闘とそれに伴い再編成する世界の様相を描いてきた物語が中心でしたが、レインたちの知らないところで“亡霊”の存在と“悪魔の弾丸”についての知ることとなり、アスリーの過去と未来を変えるきっかけともいえる転換点を描いた物語になっていました。

アスリーについては、レインと旧知の相棒であったり、男所帯な兵士たちのなかにおける癒し的なポジションでもあり、最も距離が近い異性でもありました。それでも、レインとエアの掲げる悪魔の弾丸の力で世界を変えていくという野望については秘密にされているため、アスリーの性格や容姿もあいまって修羅の道を突き進むレインに癒しを与えてくれる存在に思えていました。
しかし、運命とは残酷なもので、何の因果によるものかアスリーの故郷と家族を亡くした戦火のきっかけも亡霊によりもたらされたものであり、アスリーのなかの憎しみの感情が亡霊にむけられるきっかけにもなりました。
レイン、エア、アスリーの3人のなかにある友好的な関係も一気に崩れ去り、レインとエアのなかでもアスリーに対してひとつの決断を下す場面もあり、この物語も新たな局面を迎えることになりました。
固い決意のもとで世界の運命を変える修羅の道を突き進む人間もいれば、憎しみの感情をきっかけに行動を起こして世界の運命を変えようとする人間もいる。少年少女たちの強さと脆さがレインとアスリーの二人の行動に現れているように思いました。

レイン、エア、アスリーの運命は大きく動き出し3人の関係がどのように収束していくのか想像もつきません。
ファンタジア文庫が大賞にあてるだけあり、長期的に見てもますます面白くなってくるポテンシャルは十分にある作品だと感じられるので、是非とも評判・売上ともに伸びていってほしい作品です。
ちなみに2巻では僕のコメントも帯に採用されているので是非買ってください!!