内容紹介
文明が一度滅びた世界の物語―。人々は隕石の脅威から逃れるため、バベルと呼ばれる巨大な都市に暮らしていた。
運び屋で生計を立てる貧困層の少年・リカルは、操縦できる巨人『ステアクラスト』を報酬に、謎のコンテナの運搬を依頼される。二つ返事で引き受けたリカルだったが、高スペックのステアクラストによる襲撃を受け、逃亡するハメに。そんな中、開けてしまったコンテナの中には一人の少女が眠っていた!その少女は記憶喪失で、「家族の元に連れていってほしい」とリカルに依頼するのだが―。何よりも高みを目指す。
冒険SFメカファンタジー開幕!!第25回ファンタジア大賞銀賞・読者賞W受賞作。
感想
『これは世間一般では常識。だから俺の言っていることはなにも間違ってなどいない!』
免罪符のように自分の異見を正当化する主人公。言いかえれば、物事を合理的で、かつ現実的で、利己的に判断する。そんな主人公が葛藤を繰り返しながら、出会った少女を救いにいく物語だったと思います。
ただ無駄に正義ぶっている主人公よりは、こういう普通の人間らしいマイナスな思考があるほうが感情移入がしやすかったです。それとは対照的に貧困層の人間を救おうとするユキがかえって聖女にみえて癒されますね。
救った子供がユキの胸に顔をうずめていい思いをして、それが確信犯だったときは「このガキヒロインを汚すんじゃねぇ!!」て思いましたハイ。
はじめは王道の展開のように物語のキーになる女の子との出会う。そこからは物語の設定と世界観の地盤固め。世の中にはどういった人間がいて、富裕層と貧困層の立場の明確な線引きなどが書かれていました。
しかし、SFロボットファンタジーとあったから読んでみたものの、ロボットを使った展開がありきたりすぎる。わざわざロボットである理由がよくわからなかった。
その後のユキが誘拐されてからの救出劇もありきたりすぎて、なぜこれが新人賞を受賞した理由がわからなかった。
主人公の攻撃に対する第六感がチート並みに万能過ぎて話に深みもないのがさらにつまらなくさせているように感じた。まあ先を読み進めれば殺意に敏感な理由がわかるかも知れないんだろうけど、続きが気になるから読みたいという一冊ではなかった。
全体的に平凡で後半のほうはかなりとばして読みました。わざわざユキをコールドスリープして登場させる必要はあったのか?格納庫での戦闘でガトリング砲を全て体術だけで回避したって書いてあるけど、せまい空間とかなりの表面積を誇るような機体が、相手より高スペックで自分の思うままに動かせるだけでどうにかなるのか?身も蓋もないような突っ込みがぽろぽろとうかびました。