幹部自衛官となって智謀を振るうことを夢見ていた少年・南雲竜基が転移したのは、直前までプレイしていた異世界軍事シミュレーションゲーム“魔剣戦記"の世界だった。
そこで出会う多くの人々と、悲願を秘めた亡国の王女・アリサ。
「一緒に戦いましょう、軍師リューキ」
ゲーム越しに眺めていた少女が目の前で微笑むその世界で、竜基は持てる知識のすべてを生かし、運命を変える戦いへ挑むことになる。
『小説家になろう』とコラボした第1回OVL文庫WEB小説大賞“銀賞"受賞作の異世界ファンタジー戦記がここに開幕!
平和な日本で育ってきた“南雲竜基”がある日突然、軍事シュミレーションゲーム『魔界戦記』の世界に飲み込まれるという、いわゆる異世界もののラノベ。
現存する戦記に触れたことがきっかけで、自分もいつかは軍師になりたいと願い、自分のもてる知識を生かし戦いへ挑む。
これだけ話すと僕が普段読んでるラノベの戦記ものと対して変わりないように思えるけど、この戦記ものは、『実際の戦争を体験して苦悩する主人公』を描いた戦記もののラノベでした。
相手の命を奪うということは、相手の人生にピリオドを打つこと。戦争のない平和な日本で育ってきた主人公が、はじめて人の命を奪った瞬間に経験したことに苦悩し、前に進んでいく姿がじっくりと書かれていました。例えるなら、「RPGゲームでパーティーに加わる前段階」くらいにじっくりと話しを進めていきます。ちなみに、「俺はいったいどうしたらいいんだ!?」だけで中盤にかけてごっそりとページ数を使ってありました。
軍師として活躍する主人公の“南雲竜基”の策略の数々も非常にシンプルでイメージしやすい内容。理解もしやすいので読みやすかったです。
作品の根幹にある「苦悩する主人公」を強調するがために、“竜基”の策にまんまと嵌り命を落としていく敵サイドもかなり強烈。敵側が完全に悪なら痛快に感じて読むことができたんですけど、敵側の人間の友情劇で感情移入しちゃいました(敵なのに。
“竜基”の感じていた苦悩がラノベから飛び出してこっちにも伝わってきたよもう。
ラストには『魔剣戦記』の秘密に関わるような引きで終わって続きが気になります。
一風変わった異世界戦記ものですので是非読んでみてください。