働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

いでおろーぐ!

いでおろーぐ! (電撃文庫)
「恋愛を放棄せよ!すべての恋愛感情は幻想である!」雪の降るクリスマス・イヴ、カップルだらけの渋谷。街の様子に僻易していた非リア充の高校生・高砂は、雑踏に向かってそんなとんでもない演説をする少女に出会った。彼女の正体は、同じクラスの目立たない少女、領家薫。演説に同調した高砂は「リア充爆発しろ!」との想いを胸に、彼女が議長を務める“反恋愛主義青年同盟部”の活動に参加する。やがて集まった仲間とともに『バレンタイン粉砕闘争』への工作を着々と進めるのだが―!?「我々は2月14日、バレンタイン・デーを、粉砕する!」





全てのリア充を撲滅する最大のイベントであるバレンタインにリア充たちに血の雨を降らせる。反恋愛主義青年同盟の創設者である領家薫と、彼女の意志のもとに徐々に入部を決める部員たち。各メンバーが抱える反恋愛主義になった経緯や過去のエピソードの数々がダイジェストで語られていくところが急ぎ足な感じがして、もっとじっくりとぶっとんだ個性のメンバーたちを味わいたかった気持ちはある。反恋愛主義を胸に校内のリア充狩りを行うにあたり、対抗勢力として登場する生徒会勢力の存在。「もしかしたら、この部員のなかにスパイが紛れ込んでいるのでは?」と思うこともあったけど、薫を除く部員たちと接していく中で、「あー、こいつは反恋愛主義だなー」とうなずかざるを得ない。

学内で徐々に勢力を広めていく反恋愛主義青年同盟部の存在は、来たるバレンタインの日にリア充に死の鉄槌を下そうと結託する非リア充勢力が絡んでくることでさらにヒートアップ。非リア充勢力がリア充に対して抱える闇の深さとそのエピソードには妙なリアリティがあって共感したくなる。
最後に起こった非モテ勢力&反恋愛主義青年同盟部VS生徒会勢力の校内戦争は、その若さゆえかバイタリティ溢れる戦争。あの戦争の一番の功績者は、チョコをもらえないゆえにチョコの匂いをかぎ分ける研ぎ澄まされた嗅覚をもったあの生徒の存在を決して忘れない。