再構築された世界でも惹かれ合った優樹と世界。世界は次第に学校にも溶け込んでゆき、彼らの平穏な日々は今度こそ続いていく―と思われたが。世界の態度はどこか煮え切らず、優樹は不審を抱いていた。そんなある日、おチヨによって世界と世界の秘密は暴かれ、無情にも決断の刻が迫りつつあることを知らされる。九十九機関から逃れるためにあらゆる手段を使った逃避行の末、辿り着いたのはとある港町の修道院。そこでささやかな“願い”を果たそうとする二人を待ち受ける運命とは―
これはもう文句の付けようがないラブコメだ!!
優樹と世界から放たれるラブコメの波動と世界に向ける熱烈でストレートな好意
「俺と結婚してください!!!」「俺も健全な男子高校生であって、夜の夫婦生活……」などなど。
前回の世界で残念な結末を迎えることになった二人だけあって、「今回こそは幸せになってほしい!!」と、強く願いながら読んでしまいましたね。
身体が衰弱しきっているために満足に学校生活を送ることができなかった世界が、今回はクラスメイトと仲睦まじく談笑を交わす姿を拝むことができたら、このまま二人にはごく平凡な日常を送ってもらいたくなるよね。世界が普通の女の子としての日常を手にすることこそが文句の付けようがないラブコメを迎えることができる世界なんだよ。
ただまあ、そんな些細な願いも叶わないのが逃れることのできない因果かな。神様によって保たれていた世界の均衡が崩れたことがきっかけになったことで、優樹と世界の平和なほんのささやかな平和なひと時も魔の手がさしかかる。九十九機関の存在さえなければ、たとえ世界が滅びる運命になろうとも優樹たちのラブコメが続くことになったのに!!
ストーリーは完璧なまでに文句の付けようがないラブコメだけど、二人がハッピーエンドを迎えることができない運命にあることに対して文句をつけてやりたい。