働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

ラン・オーバー

ラン・オーバー (講談社ラノベ文庫)
いじめが横行するクラスで日常を送る伊園は傍観者を貫いていた。だが湊里香が転校してきてから、すべては一変する。いじめのターゲットにされても動じない彼女はあるとき伊園を呼び出した。湊にある秘密を知られた伊園は、流されるまま彼女との同棲生活をスタートさせる。彼女の目的は一体何なのかと困惑する伊園に湊はあることを提案する。それはいじめのリーダーカップルに反撃すること。はじめは気乗りしなかった伊園も、次第に湊の意見に賛同するように。いじめのターゲットの原を巻き込み、三人の過激な反乱が始まる。だが、湊が求めていたのは、いじめを止めさせることなどではなかった…。第4回講談社ラノベ文庫新人賞佳作受賞作。






新人賞作品では個性を前面に押し出した尖ったラノベを期待しているが、ここまで派手にぶっ飛んだ内容は後にも先にも出会うことはないはず。『クラス内で横行するいじめ』を本筋におき、傍観者を貫く伊園(主人公)と転校生の湊里香の二人を中心にストーリーが進んでいくまではわりとごく普通でした。
ところがどっこい、この転校生ちゃんの性格や行動がサイコパス過ぎるため、これまでに経験してきたラノベヒロインの行動原理から全く予想がつかない行動を繰り返してくれます。
いったい誰がクラスメイトの手をハサミで貫いて机に打ち付けるヒロインを予想していただろうか。彼らの起こす狂気じみた行動の数々には思わず目が釘付けになる。ストーリーの本筋は理解できるけど、伊園と湊の思惑がクラス内にどのような影響をもたらしてくれるのか最後の最後まで予想がつかなかった。読んだ人の心に爪痕を残すにとどまらず心を深くえぐられるくらい強烈に印象に残るラノベでした。〆がラブコメであったおかげで読後感は良好でした。