働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

ひとつ海のパラスアテナ 3

ひとつ海のパラスアテナ (3) (電撃文庫)
ここは、見渡す限りの水平線。たくさんの人間たちで賑わっていた、“セジング”は見あたらない。それは、海獣『カリブディス』によって水底へ沈没した。絶望的な状況下でも、アキは“セジング”住民の生存を信じ、そしてオルカが失った“シャチのぬいぐるみ”を探し出す決意をする。アキに残された唯一の手段は、何の道具にも頼らず、自分の力だけで海の中へと身を投じる“潜水”による捜索だった。―ボクは、必ず見つけ出す。第21回電撃小説大賞“大賞”受賞作、シリーズ第三弾!





全ての陸地が海に沈んだ世界に過ごすアフターの人々の生活史、大海原を冒険するアキの波乱続きな日常は常に海の脅威と隣り合わせ。いついかなる時も気を抜くことのできない海上での暮らしは容赦なくアキの肉体と精神を摩耗していき、慢性的に物資が不足しているアフター人ならではの生活の知恵というのが散見されました。それがかえってアキの身に降りかかった海の脅威が、生死の境を彷徨うほどの極限状態なのだということが感じられますね。
アフターの人々が集う街を形成する資材に関しても、物資が限りなく不足しているアフターの人々にとって街を形作る数には限りがある。突然の天変地異により消滅したセジングもとい、そこに暮らしていた人々を受け入れる先の街を探してたどり着いたところで、どの街も自分たちの明日の暮らしを安定させるだけで精一杯の状況なため、他の街の住人を受け入れる余裕がないのが現状。ひとつ海のパラスアテナといいう作品の世界はどういうものなのか。様々な観点からうかがうことができるところがまたいいですね。
3巻にして物語が大きな転機を迎えることになってますます面白くなってきて、アキ、タカ、オルカの次はどんな冒険をおくるのかとても楽しみです。