働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

明日、今日の君に逢えなくても

明日、今日の君に逢えなくても (MF文庫J)
「わたしは、あなたが好きです」夏祭りの夜、由良統哉は妹に告白され、ファーストキスを奪われた。だが、彼女が誰なのか統哉には分からない。何故なら、彼女の身体には三人の少女の人格が宿っており、『かごめゲーム』の真っ最中だったから…。彼女たちの中で誰が本当の人格なのかは誰にも分からず、普通の女の子に戻る方法は一つだけ。それは、別人格が夢を叶え、この世界から消えること―そして、夏祭りの夜から少女たちはそれぞれの想いを抱く。ある少女は音楽を奏で、ある少女は全力で疾走し、ある少女は恋を綴る。たとえ自分が偽りの人格だったとしても、最後まで自分らしく在るために―現在を駆け抜ける四つの青春群像劇、ここに開幕。





久しぶりに心から感動できて思わず泣いてしまいたくなるラノベに出会ってしまった! 表紙のイラストの雰囲気からして良作の予感がしていたけど、これは他の人にもおすすめしていきたいラノベだ。

『シノニム』という架空の多重人格障害解離性同一性障害)を患った妹には三人の別人格『藍里、茜、蘭香』が混在しています。三人の別人格をもつ少女が送る平和でごく普通の学校での日常風景。シノニムの治療に踏み込むことで消えゆく別人格とこれまで育まれてきた人間関係が清算される様がとにかく切ない。少女たちの身に宿る『シノニム』の実態は知りつつも、別人格が消えるということはこれまでのような関係に二度と戻れなくなり、死を迎えることと同義。そんな現実に真正面から向き合っていく『藍里、茜、蘭香』の三人の友人たちの勇姿に天晴。これだけ心温まるラノベに出会えて良かった。
三人の別人格が迎えた結末も読後感良くハッピーエンドに締められていたので、とても記憶に残る一冊でした。