働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

不器用な天使の取扱説明書

不器用な天使の取扱説明書 (HJ文庫)

《あらすじ》
高校入学を機にオタクをやめ、楽しい一般人ライフを目指す峰本信哉だったが、教室の隅でひたすら漫画を描いていたクラスメイト目崎凛が起こした騒動をきっかけに凛に元オタを見破られてしまう。その後元オタをネタに凛の漫画を手伝う羽目になったり、騒動解決以来クラス委員の沢渡千佳に頼られたり。過去と現在の狭間に揺れる信哉の決断は?

第9回HJ文庫大賞大賞受賞作
創作にすべてを注ぐクラスメイトの目崎凛と脱オタクをした主人公の峰本信哉の物語。創作の世界に踏み込んだ人間のトラウマを刺激しそうな生々しい体験談の数々、天才がもつ圧倒的な才能を目の前にしたときの凡人の苦痛と心境が強烈に響く作品でした。

ひとりでひたすら漫画を描いている凛の作品を目にしたことがきっかけで彼女の作品に関して感想をもとめられたのがきっかけで、二人の交友関係が深まっていく青春ストーリー。クラスのなかで漫画を描いていることを明かしたくないこともあって、放課後にふたりで連れ添って行動しているときはまさに青春。はじめはぶっきらぼうだった凛が日を重ねるごとに可愛く見えてきてくるし、見事なツンデレっぷりが素晴らしい! ただひたすらに、睡眠時間を切り詰めてまで創作にかける凛のスタンスに巻き込まれる形で協力をしていた信哉が、過去のトラウマと正面から向き合って突き進んでいく姿もかっこよかった! さすがは大賞受賞作!
青春を謳歌しているふたりの姿と創作活動にむける情熱、そして信哉と凛の関係が向かう先。どれも最高に面白かったです。これは是非とも2巻の刊行を期待したい作品なので、さっそく読者アンケートに記入して貢献していきたいと思います!

『この作品のタイトルである『不器用な天使の取扱説明書』とは、『不器用な天(才をうまく)使(うため)の取扱説明書』なのであって、本作で天使は一切登場しません』