働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

精霊幻想記 1.偽りの王国

精霊幻想記 1.偽りの王国 (HJ文庫)

《あらすじ》
スラム街で生きる孤児の少年リオ。彼は七歳の時に突然、自分がかつて日本の大学生“天川春人”であったことを思い出し、剣と魔法の異世界に転生していたのだと気づく。動揺する中、リオは記憶と同時に認識した自身の強大な魔力を行使し、少女誘拐事件の解決に貢献。その功績が評価され、彼は貴族の子どもが集う名門学院に特例で入学することに!?

権力者の理不尽な惨劇が招いた結果を最後まで読んで行ったら、それまでに積み重ねてきたものが一気に爆発して感情移入しすぎて思わず泣いてしまいました。
異世界転生ファンタジーで第二の人生をスラム街の孤児で生を受けたリオの生い立ちは、身分社会の絶対的な権力とその理不尽な光景がかなり強烈でした。これまで読んできた異世界ファンタジー作品で、貴族などの位が上の人間が下の人間に横暴を振るう展開というのを数多く読んできたけれど、少年リオが入学した名門学院において彼に表だって味方をする人間が誰ひとりとしていない状況下にさらされると、これほどまでに壮絶な日常を送ることになるとは……

クラス内で雑談をする友人もおらず、スラム街出身の背景があるリオとと親しくしようとするクラスメイトが誰ひとりとしていないなかでも、名門学院で異世界に関する多くの知識と武力を身に着けようと研鑽を重ねる日々。リオが少女誘拐事件の解決に貢献する際に偶然出会った担任の教師セリアが、学院内で唯一リオの全てを理解してくれている良き理解者。普段の授業と自主学習、放課後はセリア先生とのお茶会。
リオがスラム街出身の平民であることが理由でここまで理不尽が次々に襲いかかってくるのかってくらい、リオの抱えている問題のデカさがクラスメイトの態度を通してストレートに伝わってくる。