《あらすじ》
スヴェンとジェコブは新営業戦略として隣町サウプンクトにパンの出張販売に訪れていた。しかし、そこで起きたジェコブの運命的な出会いが「トッカーブロート」を揺るがす大事件の発端になろうとは。ジェコブを巡るパン売り上げ戦争の勃発にワイルティア親衛隊の思惑が絡み、事件は混迷化の一途を辿る。果たしてルートに安寧の日は来るのか!?
『トッカーブロード』の利益をさらに上げるための新戦略と出張販売を基点にした経営のいろはについて踏み込んで語るシーンは、純粋にスヴェンのスペックの高さに感心する以外になかった。隣町にトッカーブロードのパンを委託販売・出張販売して新規顧客を獲得する流れと商売をするための売り場を確保するための交渉事も、交渉相手とのWin-Winの関係を築いてスムーズに進める辺りはさすがですね。それでいて、スヴェンは有事の際に人外スペックで荒事に対処できるだけの戦闘能力を有しているとあれば、吹けば飛ぶような小さなパン屋の前に降りかかる火の粉を全力で振り払うために努力をしてくれそうで安心して物語を楽しめますね。
まあ、いくら最強の戦闘能力をほこるオートマタであっても現実的にどう考えても覆しきれないシチュエーションというものに巻き込まれることもありますけど、そこは『これだけルートへの愛の力があればなんとかしてくれる!!』ぐらいのポテンシャルとエネルギーを秘めているので安心して楽しめました。
ルートとスヴェンの新規営業戦略が進む一方で、年齢に似つかわしくない大人びた言動が目立つジェコブの過去にまつわる人物の登場とあり、そんなジェコブとつながりのある人物がきっかけでルートのパン屋経営に危機が訪れたりして、かなりの波乱があって面白かったです。パン屋の売り上げ競争に勝つための秘策もまた、本職のパン屋の力を見せつけられた感じで良かったです。