《あらすじ》
「異能力制限法」により異能力者はすべて社会から管理され、戦う機会が奪われた現代。相棒である小手毬を救うため、朱雀は規格外の能力を持つ集団『天上』の一員となった。しかし、何かを得るためには、何かを失う。その理はいつの時代も変わらない。『天上』のように浮き世離れした存在になるのだ、当然失うものも大きいはず。そしてその予想は当たっていた。失雀は今までの生き方を変えなければいけなくなったのだ―。誰もが幸せになれるなんて幻想だ!新たな展開をみせる異能力リアルアクション第6弾!
煌霊使いの冬川朱雀とそのパートナーである小手毬の物語はいつも最後までどんな方向に話が転ぶことになるのか予想ができないですね。
前巻は突然煌霊であるはずの小手毬の生存が危ぶまれることになったことがきっかけで、冬川朱雀により小手毬が抜けた部分をカバーする勢いで新たな異能に目覚め、さらには『天上』となるまでの進化を遂げることになったところで話は終わっていたような気がします。『天上』となったことで、異能力業界で活動する表と裏の全異能力者との間に根本的な力の差を身に着けたことがきっかけとなり、戦いを生業にする異能力者としての芸能活動の全てが禁止になることになるとは夢にも思わなかった。もう、これまでのように何が何でも異能力者バトルの世界に返り咲いてやるために努力をしてきたふたりの勇姿が完全に途絶えることになるとは。でもこういった大きな転機がたびたび訪れることで、また違った視点に物語が進み始めるところが不戦無敵の影殺師の面白いところなんですよね。
これまで同様にたびたび繰り広げられる異能力バトルにおいても、それぞれの異能力者が身の丈に合った能力に創意工夫をこなした戦術がこなされていて、弱い異能力でも戦い方・使い方次第で勝てる! といった流動的なバトルが面白かったです。
その他にも『小手毬の身に起きた変化』『天上となった冬川朱雀と小手毬の関係性』などなど、これからのふたりの関係性を大きく変える転機が多く訪れるなかで、今後はどういった関係を気づきあげていくのかがとても気になる作品です。