《あらすじ》
村の発展は順調に進み、留学生を受け入れ、村の住人が増えた。その留学生に授業をしていた裕次郎に客がやってくる。凶報と呼べるものを携えやってきたのはフィナとツアの二人。渡された手紙を見た裕次郎は自分たちのために解決へと動き出す。事態解決に乗り出すためには裕次郎は、水竜にも応援を要請する。やがて裕次郎たちは海の民に遭遇する。その出会いは偶然ではなく、はるか昔に予知されていたことだった。海の民との協力関係を結んだ一行は目的地へとたどり着くが…。世界を脅かす事態の収拾と、村や愛する人を守るため、裕次郎は尽力する。その結末は…?大感動の最終巻!!!!!
またひとつ、お気に入りだった作品が完結を迎えることになってしまった……
異世界に転生して薬師としての能力を授かったユウジロウとハーフエルフであるセリエの二人旅も、物語が始まった当初はユウジロウの一方的な好意であったはずが長い期間を共にするうちにドンドン距離が縮まっていき、最後には充実した異世界ライフを送って最後を迎えることになるとは思いもしなかったです。
ユウジロウの薬師としての優れた能力が貴族の人間たちに知れわたり、悪意のある人間の手によって手配書が出回ったことがきっかけで、人間の世界から完全に身を引いて魔物との共同生活を送ることになってからもいろいろな出来事があったけれど、そのたびにユウジロウとセリエと多くの魔物が共存していくことで未開の地の規模を大きくしていくことになるとは。
魔物たちとの共同生活においてもユウジロウの薬師としての能力が魔物との平和な生活を築き上げるのに貢献していたこともそうだけど、魔物であっても長い年月を共に過ごしていくなかで、知能の低いゴブリンが畑を耕して食物を作ることを覚えたり、フォクシンが薬師になるために知性を磨きだしたり、刊行数を重ねるたびに魔物たちの村にも多くの変化と成長が見られる部分もあって面白かったです。
よくよく考えると、人間社会→魔物しかいない樹海に移り住んでから人生のほとんどを何の娯楽施設もない辺境で過ごしていた割には、そのスローライフを読んでいる側として退屈になることもなく楽しめた印象ですね。
何はともあれ、ユウジロウとセリエが樹海で開拓して発展させてきた魔物たちの住処が、ふたりの死後どのような発展を遂げることになったのかという部分までも含めて、感動のクライマックスを迎えることができて満足でした。