働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

ウロボロス・レコード2

ウロボロス・レコード2 (ヒーロー文庫)

《あらすじ》
錬金術に没頭し、凄惨な実験を繰り返していたトゥリウス。彼はある日、兄・ライナスによって、領主就任の名目で王都から追い出されてしまう。与えられた領地は痩せ、民は困窮し、統治に当たっていた代官たちは私腹を肥やしている、伯爵家領のお荷物のようなものだった。トゥリウスは、荒れ果てた領地の改革に手を尽くす。彼に付き従うのは、奴隷の少女・ユニ、剣士・ドゥーエ、そして不思議な運命に導かれ、彼の下に加わる新たな仲間たち。追放されたはずの片田舎の土地で、トゥリウスは着々と力を蓄えていく。ただ生き残りたいだけの弟と、その所業を許せない兄。二人の対立は伯爵家の中の問題を飛び越えて、更なる波乱を起こす。

辺境の地の領主に就任して統治をするにあたって行われた改革による成果の数々の裏に、錬金術の研究によって培われた技術と知識、生きた人間の改造手術があるなんて外部の人間には知る由もないだろうな。
領主を任されるにいたった経緯も兄・ライナスによって王都にある実家から厄介払いとして追い出されて、領主としての失態を吊し上げることが目的だったと思うけれど、不利な状況に陥っているなかでも無難にそつなくこなしているのが恐ろしくてしかたがないですね。1巻の頃からもずば抜けてトゥリウスの悪逆の数々を目にしてきたけれど、王都にある研究室を失ったのにも関わらず新たな地に新しい錬金術の研究施設を作り上げることになるとは。
辺境の地で生活するにあたって奴隷の少女・ユニと剣士・ドゥーエに続いて新たな仲間をドンドン加えていくまでも目を背けたくなるくらいに残虐だったけれど、敵対していた人間もスパイとして送り込まれてきた人間もことごとく自らの手ごまにして優秀な人材で埋め尽くされていく展開が面白いですね。
これが洗脳するでも調教するでもなく、トゥリウスの都合のいいように脳を改造するという結果に至るところがこれまで読んできたどのラノベにもないぶっ飛んだところが凄い。それだけの大手術を施しておいて、誰の目から見てもごく普通の人間が中身は依然とまるっきり別の人間になっていて、領主としての活動をサポートすることで、兄・ライナスの思惑を完全に外す結果に至ることになるなんて……
トゥリウスを陥れるために放たれた密偵もことごとく交わしていくし、武力行使に出たところで改造手術が施された奴隷たちを前にしたら絶対誰も叶わないしで、トゥリウスの身辺が鉄壁過ぎてとにかくヤバい。肝心の不老不死の研究よりもトゥリウスの活躍する姿のほうが見ていて楽しい。