働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

魔弾の王と戦姫(ヴァナディース) (14)

魔弾の王と戦姫(ヴァナディース) (14) (MF文庫J)

《あらすじ》
ムオジネルの王弟クレイシュは十五万という空前絶後の大軍を擁し、優れた将軍たちをそろえ、都市や城砦を次々に無力化して王都へと迫っていた。ティグルは王女レギンが西方国境から呼び集めた兵を預かって月光の騎士軍を再編成し、仲間たちとともにクレイシュとの決戦に挑む。若き英雄は大切な者たちのいる王都を守り、クレイシュを撃つことができるのか。一方、ジスタートではブリューヌから帰国したヴァレンティナがフィグネリアやリーザと会談。ジスタートを覆う不穏、とめどなく続く数多の戦い、祖国に訪れた史上最大の危機の中で今、英雄となった若者は、その名を永遠に歴史に刻み込む―大ヒット最強美少女ファンタジー戦記の最高峰、第14弾!

ブリューヌの王都を攻め入るムオジネル軍十五万の軍勢に対しての防衛戦。一騎当千の戦力であるジスタートの戦姫エレンとミラを擁するなかでの大決戦が過去にないくらいに『この戦いでまた身近な人間が死を迎えるんじゃないか!?』という緊張感があり、これまでで最も厳しい戦いを強いられた敵なだけに、お互いの戦術・戦力のぶつかり合いが激しかった。やっぱり戦記は最終的な戦果に結びつけるまでの戦局の肉付けが濃ければ濃いほど、ストーリー全体の読み応えが抜群に効いてくるところがたまらないですね!! ブリューヌ王都の全国民を巻き込んだムオジネル軍との防衛戦において、戦局の視野を広げて敵の作戦に翻弄・攪乱されながらもお互いに最善を尽くしている姿の臨場感も半端じゃない。戦姫を要して戦力が増したところで、ひとりの戦姫も大軍を前にしては限界がある。この一筋縄でいかないギリギリの戦いがほどよい緊張感を味わえてメチャクチャ面白かったです。

ティグルをめぐるヒロイン勢の動向もエレンとの一連のやりとりを機に一気に制限が解除されて、この第14巻だけでかなりの動きと新たな予兆が見え始めてきてますね。ティグルも少し前まではアルサスの小さな領地を治めるだけの領主だったのに、これまでの長きにわたってブリューヌにもたらした戦果が彼を『一国の命運を左右する中心』にまで引き上げることになるとは。ヒロイン勢との関係にどんな終止符を付けることになるのかが今後の課題のひとつだけれど、ティグル自身の身の置き方がどんな道をたどることになるのかが気になるところです。