働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係

近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係 (ファミ通文庫)

《あらすじ》
多感に揺らめく十七歳を映し出す、恋愛ストーリー登場。
母と二人で暮らす家で、遠い親戚の女子、和泉里奈と同居することになった坂本健一。里奈の控えめな性格や気遣い、女子校育ちの無防備さは、他人との距離に悩む健一に、初めて思春期の性を意識させる。同じ十七歳の女子と一つ屋根の下で生活していることを友人達にも隠そうとしていた健一だが、幼い頃からの腐れ縁、森由梨子に知られてしまい、彼女との距離感にも微かな変化がもたらされることに―。多感に揺らめく十七歳を映し出す、恋愛ストーリー。

第16回えんため大賞優秀賞受賞作の『黒崎麻由の瞳に映る美しい世界』でファミ通文庫でデビューを果たした作者の新作。
ごくありふれた家族風景のなかに遠い親戚の女の子・和泉里奈との同居生活という非日常感を加えることで、“和泉里奈”と同居生活を送ることになった“坂本健一”や彼の幼なじみである“森由梨子”の感情を大きく揺さぶることになっていて、この些細なできごとが彼らの心境にどんな変化をもたらすことになっているのかドキドキさせられる。ありふれた談笑やリアクションから感情の機微を読み取りながら読むとよりいっそうこの恋愛ストーリーを楽しめること間違いないと思います。

イラストレーターの和遥キナさんの描くキャラクターが等身大の恋愛ストーリーである作品の雰囲気に合致していて、それでいて“和泉里奈”の清楚な黒髪美少女のキャラクターがこの上なく可愛い。こんな美少女とある日突然、同居生活をすることになった“坂本健一”が、普段から家族として接するように意識しているけど、次第に心が引かれそうになる気持ちが痛いほどわかる。

ファミ通文庫が送り出す恋愛作品のなかでも屈指の面白さを持っているので、このまま軌道にのって売れ行きも伸びていき、作者の書けるところまで書かせて無事に完結まで突っ走っていってもらいたい……、それくらいに思い入れの深い作品でした。

黒崎麻由の瞳に映る美しい世界 (ファミ通文庫)

黒崎麻由の瞳に映る美しい世界 (ファミ通文庫)