《あらすじ》
「後は任せろ。起きた時には、全て終わっているからな」
元・世界最強エージェントであるシリウスの『後継者育成』は、場所をエリュシオン学園に移し順調に進行していた。一方で弟子たちの順調すぎる成長と実力は、彼らを目障りと思う勢力にとって、より更に脅威となりつつあった。迷宮探索が許される年齢になった弟子たちに、ついにその魔の手が迫る。敵の陰謀の術中に嵌った弟子たちを救うべく師匠のシリウスは、ひた隠しにしてきた本領を発揮する―!!そして、新たな弟子・リースの誰にも言えなかった秘密も明らかになり―!?師匠と弟子の絆で紡がれる異世界式育成ミッション第3幕。
シリウスの教育と指導で培ってきた強さを身に着けたレウスとエミリアがエリュシオン学園に入学してからというもの、それを妬んだ貴族の生徒たちによる嫉妬と侮蔑を含んだ悪意にさらされるが、それを乗り越えて糧にすることでさらに強くなっていくレウスとエミリア。
他人を貶めようとする害悪を真正面から打ち滅ぼしていくシリウスたち三人の活躍が爽快感もあり、シリウスが入学試験で披露した圧倒的な戦闘能力では見せることのできない緊張感のある展開を、まだまだ未熟な弟子たちがピンチに陥ることで普段は見せることの無いシリウスの焦りがストーリー全体に起伏が生まれていて、飽きることなく楽しむことができました。
シリウスの特徴的な黒髪と年齢にそぐわない落ち着いた雰囲気があいまって、エリュシオン学園内の彼の交友関係が銀狼族で弟子のレウスとエミリア、精霊を操るリースを除いて、学園長とクラス担任に絞られているのが彼の学園内での生活を物語っています。
転生前の記憶と性格が今のシリウスという人間を形成しているので、常に落ち着いた言動と性格が目立つ彼ですが、学園長をはじめとしたノリの良い大人たちを相手にしたときの遊び心のある部分もあって、師匠として弟子たちに立ち居振る舞うときのキャラと学園長を相手に気兼ねなく素を曝け出しているときのキャラの二面性があってそこもまた面白い。
学園を中心に日々の生活を送っていくので常に変化に巻き込まれていくことで時間の経過を感じ取ることができ、それが『エリュシオン学園入学前に出会った女の子』といつ再開することになるのか。そういったことも踏まえながら、4巻や5巻ではどんな展開が待ち受けているのかが楽しみになってくる、そんな作品でした。