《あらすじ》
空前絶後の大軍で侵攻してきたムオジネル軍は、総力を結集したブリューヌと戦姫たちの助力、そしてティグルの乾坤一擲の活躍でついに退けられた。人々が祝杯を挙げ、王都の復興が進む中、これまで以上に声望を高めたティグルは思いがけぬ人物からの告白を受ける。今後やらなければならないことと、ブリューヌの人々が望む英雄としての未来との間で思い悩むティグル。時同じころ、風雲急を告げるジスタートでは、ヴァレンティナの野望がついに形となって動き出す。ティグルたちの動向を伺う魔物たちも、悲願達成のために牙を剥く。息つく暇もなく、さらなる大きな時のうねりの中で英雄の戦いは続く―大ヒット最強美少女ファンタジー戦記の最高峰、第15弾!
いよいよこの長編ファンタジーもクライマックスに突入。ティグルに好意を抱いていた少女たちが想いを告げるなかで、立場ある身分であることが関係を進展させる足かせになることに。ブリューヌとジスタートをめぐる数々の修羅場を潜り抜けていくなかで育まれてきたティグルたちの関係なだけに、全ての身を拾ってもらいたい! しかしそれを現実的な判断が待ったをかける。今やティグルはブリューヌの辺境を治める田舎貴族から国を救った英雄にまで成り上がった身、そんな彼の立場が戦姫たちとの恋愛事情をここまで困難なものにするとは。
物語の軸になる戦記ファンタジーの要素をはじめ、長期刊行作品特有の作品のなかのキャラクターたちが育んできたドラマがこのような形で大きな壁になって立ちはだかるところが味わい深い。ティグルがリュドミラと紅茶を交わすところも、記憶をなくしたティグルがエリザヴェータのもとで交わしたやり取りも、17歳で王女としての立場を強いられたレギンの心境とティグルに向ける感情も、全部が全部最終巻に近づくにつれて一挙に押し寄せてきてものすごいことになってる。
果たしてティグルが少女たちの想いに対してどのような形で結末を迎えることになるのか新刊が楽しみです。