働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

救世の背信者

救世の背信者 (講談社ラノベ文庫)

《あらすじ》
約二百年前。星喰いと呼ばれる化物によって、人類は絶滅の危機に追い込まれた。そして星喰いと戦うため、人類が生み出したのが錬金術である。かつて世界に七人しかいない達人の一人―最高の錬金術師だった少年・三森慧は、現在は全ての名誉を失った最低の錬金術師として、学校の教師をしていた。そんな彼のもとに、エリート錬金術師の少女・久住悠里が入学してくる。慧は彼女とともに、最近頻発する星喰い異常発生事件の調査にあたることになるが…。「生徒に尊敬されるのは、教師が最初にしなきゃいけない仕事だ」在りし日に人類最強の立場を裏切った少年は、いま孤高の天才少女をどう導くのか―!?凸凹師弟が綴る学園異能バトルアクション!

デビュー作『サービス&バトラー』はテニス部×お嬢様学園で記憶に残る作品でした。二作目にあたる『電波な女神のいる日常』は平凡なラブコメ風の作品で少し肌に合わずにすぐに切ったけれど、三作目にあたる学園異能バトルアクションを書いた『救世の背信者』は続きに期待したくなる作品ですね。

主人公である三森慧の掴みどころのない飄々としたセクハラキャラと緊張感のある殺伐とした雰囲気も吹き飛ばす性格は、デビュー作の『サービス&バトラー』で『テニスのフォーム改善を目的に雇われ執事の立場でお嬢様に向けて亀甲縛りを施すような神経の図太いセクハラ主人公』を思い出させる素晴らしキャラクターでした。草食系ラキスケ主人公にはない、肉食系の一面を備えてヒロインにガツガツセクハラをかましていく主人公というのもなかなかに新鮮なもので、そこから展開されるヒロインとの掛け合いもこれまでにない刺激的なものが多くて読んでいて楽しかったです。

そして、かつて世界に七人しかいない最高の錬金術師だった少年・三森慧が全ての名誉と力を失い最低の錬金術師として学校で教師をするに至った背景と、ストーリーが進むにつれて明らかになる隠された真実。人類滅亡の危機に追い込まれた状況を打開するために払った大きすぎる対価。
極めつけは『世界中の誰に嫌われていようと、ごくわずかの近しい人間だけが三森慧の身に起きた真実を知る』シチュエーションが生み出す悲壮感あふれる展開……。これがたまらなく良い! 作品のなかで登場するキャラクターの数がかなり絞られているため、メインになるキャラクターを掘り下げるエピソードが数多くあり、クライマックスにかけての展開が最高に盛り上がっていて最高でした。
願わくば次巻の刊行まで進んでいってほしいものです。あと、悠里ちゃんのツンデレキャラで凄く罵られたいです。このデレ具合のさじ加減は『ストライクザブラッド』の姫柊雪菜の同類だと言えば伝わるはず。