《あらすじ》
俺―新藤大輔は、中学生の時に友達の定義について考えてみた。俺にとっての友達とは何か?するとすぐに答えは出た。こいつになら、まあ、殺されても仕方ない。そう思える相手。俺にとっての友達の基準はそうなり―結果高校のクラスで友達を作ることはできず、中学からの友達が別のクラスに一人だけ。そんな俺に、クラスメイトの少女・澄田が声をかけてきた。「新藤君、わたしと―同盟を組んで下さい」同盟とはいったい何をするのかと思いきや、ノートを貸し借りしたり困ったときに助け合ったりするらしい。澄田は友達がほしくないので、孤立している俺に声をかけたらしいのだが―?第5回講談社ラノベチャレンジカップ受賞作が登場!
ごくありふれた高校のクラスでひときわ異質な価値観を放つ新藤大輔と、高校生活を円滑的に送るために困ったときに助け合う同盟を持ち掛けてきた澄田との出会いがきっかけではじまる物語。多くの人間が一度は通ってきた馴染み深い“高校生活”を軸にして、新藤の普通じゃない生き方を一度でも目撃すると、そこから先は流れるように新藤と澄田の“友達いらない同盟”がどんな結末を辿るのかが気になるばかり。
同レーベル内から刊行されている『リア充になれない俺は革命家の同志になりました』やガガガ文庫から刊行されている『弱キャラ友崎くん』に近いものがあり、主人公たちの対人関係やコミュニケーション能力などの人間性に関連する要因が物語の多くの部分を占めている作品でした。そのなかでも、今作“友達いらない同盟”に登場する新藤と澄田のもつ異質な価値観とそれを裏付けする鮮烈な生い立ちとエピソードもガッツリと書かれていて、ここまで歪んだ人間性を持つのもうなずける衝撃的なものでした。
異世界やファンタジーから距離をおいて学園ものを読みたいという人には是非ともおすすめしたい作品です。