働きたくない村人のラノベ日記

ラノベの感想ブログ。開設2014年5月30日

月とうさぎのフォークロア。 St.1 月のない夜、あるいは悩めるうさぎ。

月とうさぎのフォークロア。 St.1 月のない夜、あるいは悩めるうさぎ。 (GA文庫)

《あらすじ》
「…朔、いそいで」朔の手を掴んで走るのは、稲羽白。長く透きとおった絹のような髪を持った美少女だ。無口な白の頭には柔らかそうなロップイヤーがあった。ここは白のような『神人』と人間が共存する異世界。そんな世界で朔の家は他家と抗争を繰り広げていた。仲間や家族を守るため、白と一緒に戦う朔。そんなふたりに狡猾な罠が迫るなか、幼なじみやクラスメイト、他家の娘たちの間では、朔を巡って牽制&バトルも勃発する―!!「よかったら、夏休みに私と―」「朔のこと、好きでありますよ?」月欠けた夜―血に塗れた神々が白き神人を紅く濃く染める、第8回GA文庫大賞“奨励賞”受賞作

あでやかなイラストとは裏腹に任侠の世界に身を置く主人公による他家との血生臭い命をかけた抗争が繰り広げられていて、表紙詐欺感が凄まじい!! 成人向け漫画方面で活躍されている方がイラストを担当しているだけあってキャラクターの容姿は抜群に良いだけに、中身とのギャップを激しく感じる。かといって、そのギャップが作品の内容にプラスになるかマイナスになるのかで言えばどちらでもなく、本分とイラストのどちらも程よく楽しめるものでした。

神人と人間が共存する異世界が築き上げた独特の文化。任侠の世界に生きる人間とその地で生活をする住人たちとの距離感の近さから、義を重んじることによる評価の表れのようなものがあって、なかなか他の作品では味わえない世界が展開されていて面白かったです。

そのなかでも一番印象深かったのは、“義を重んじるがゆえに、不義に対しては一切の容赦を捨てて残忍に徹する”場面がいくつかあったところ。他家との抗争を繰り広げ仲間や家族を守るために戦っているだけに、その本願を果たす前に立ちはだかる敵に向けて振り下ろす刃が色々な面で重い。さすがにこれを読んでいる自分も、まさか白昼堂々と切った貼ったの大騒動をぶちかますとは夢にも思わなかったです。