《あらすじ》
この物語さえあれば、他に何もいらない。この小説『十四歳』と、その中に確かに息づく主人公、トキコがいれば―。だが、彼女は俺の前に現れた。灰色の毎日の始まりになるはずだった、新学年のホームルーム。黒板の前に立った彼女こそは、俺が手にした物語の中にいたはずの「トキコ」だった。物語の中にいる「トキコ」と、目の前にいる「柊時子」のあいだで、奇妙に絡まってゆく想い。出会うはずがなかった読者と主人公の物語。その結末に、あるものは―。
小説のなかに登場する理想の女の子“トキコ”と現実の目の前にいる女の子“時子”
時子の過去の言動や日々の生活を詳細に書き連ねた書物が世に出ていて、それを愛好する読者と作中の主人公が現実で出会うというシチュエーションが斬新。二人の奇妙な出会いを描いた冒頭のインパクトが強烈で、「先の展開が気になる!!」というきっかけにも直結して目が離せなくなる。
読者と主人公という関係でお互いに意識して惹かれ合う二人ではあるけれど、恋愛に不慣れで純情な二人なだけに物語のなかの“トキコ”と現実の“時子”に対する想いにも真剣に悩み苦しむ姿が克明に描かれていて、困難な壁に向き合うことになった二人に対してただただ幸せになってほしいという思いに駆られました。
青春ものとしてはもっとも推していきたいいきたい良作であること間違いなしです。
4月に読んだ作品のなかではダントツに面白い作品でしたので、興味のある人は是非読んでみてください。
2017年4月の読書メーター
— 村人 (@murabito1104) 2017年5月2日
読んだ本の数:28冊
読んだページ数:9138ページ
ナイス数:53ナイス
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