《あらすじ》
世界初にして世界最悪のVRMMO“ソード&マジック・オンライン”には恐るべき秘密が隠されている。この仮想世界はゲームなどではない、現実なのだ―とバグで生まれてしまったササラキとアズラエルの娘・キサラが主張している。「キサラが生まれた世界はクソゲーなんかじゃないのです!みんな邪悪なる運営に騙されているのです!」もちろん誰も信じないが、運営が邪悪であることには全員が同意した。「じゃあ運営VSプレイヤーのイベントを開催して盛り上げましょう」「悪魔だね僕たち」どうしようもないクソゲー世界に生まれた少女と、クソゲー世界のゲームマスターは、わかりあうことができるのだろうか―VRクソゲー運営ラブコメ、第三弾。
ソード&マジック・オンラインの全ユーザーが容認しているクソゲーなだけに、ゲームならではの突拍子もない超展開から本当にありそうなバグ要素の演出のバランスが憎らしいほどに上手い。もっとも、この作品のように運営が投げ出したおかげで対応もままならないままにバグが放置されているクソゲーを好き好んでやりたいかと言えば、答えは「絶対に嫌です!!」となることだけは断言。他人がクソゲーで阿鼻叫喚する姿だから他人事のように見て楽しめる(笑)
ゲームの世界で処女のまま妊娠したメインヒロインのアズラエルは無事に出産にまで至り、娘を持つ一児の母になったわけだけど、『ゲームの世界で生まれた子供』が思いのほかに面倒くさい騒ぎを次々に起こしていて、さらに『ソード&マジック・オンライン=クソゲー』が付け加わるともうカオス。
おまけにクソゲーをクソゲーと知っていてプレイするユーザーの感覚も狂っていて、『ユーザー』『ゲーム』『運営』の三拍子がそろって狂っているときてる。
これだけ馬鹿路線を突き進んでおきながら、真っ当とは言えないながらもラブコメとして成り立っているのだからもう奇跡としか言いようがないと思う。もっとも、不本意に結婚して不本意に妊娠して不本意に出産までして、リアルでは不可能な演出がゲームでは記号と数値の羅列でいとも簡単に成し遂げられるのだから恐ろしい。
気がつけばコミカライズ化まで到達して軌道に乗っている作品でもあるので、読んでみて損はないと思いますよ。